日記・コラム・つぶやき

講演会「脳はわたしのことをホントに理解しているのか」

あこがれの(?)池谷裕二先生が近くにこられたので、
講演会に行って来た。

どういう人たちが来るのかと思っていたら、
女子大生みたいなのから白髪のおじいさんまで、
老若男女いろいろ取り揃えて実に多彩、
ふーん、こういう人たちが「脳」に興味を持っているんだナァ。

池谷先生は書物で想像していた通り、
とてもフレンドリーで、
やっぱり「難しいことをわかりやすく」説明してくださり、
何にでも前向きで、楽しそうだった。

何がすごいかというと、
最先端の科学に携わる学者でありながら、
まったく偉ぶったところがなく、
とても常識的で、ホストにも聴衆にも気配りなさる、
その人間性の幅広さに感服してしまう。

ホスト役の内田樹先生(神戸女学院大学教授)によれば、
脳科学の分野で、
学術論文に載せてはいけないとされている学者が3人いて、
養老孟司氏、茂木健一郎氏、そして池谷裕二氏だそうだ。
(人気があるからやっかみだよね)

内田先生が話好きなので、
若干、ホストとゲストが逆転している感があったけど、
おもしろかったし、もっと訊きたかった。

内容についてはまた次回……。

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霜月(11月)の頃

窓から見える木々も色づいて、
少しずつ秋が深まってきた今週はじめ、
朝、なんとなく寒々しい空を見て、
スープをすすりながら夫が、

「なーんか、もう冬みたい」

とベソをかいていた。

私は夏生まれだからムリもないけど、
夫は冬生まれのくせに、同じように冬に弱い。

冬に弱い人というのはちょうど今頃、
日、いちにちと、
太陽が少しずつ南へ去っていくのを、
心細い思いで見送っている。

夏のよいところは、
朝早くから明るくて、
夜遅くまで陽が沈まず、
昼の時間がたっぷり長いことだ。

冬のよいところは、
とっとと暗くなるから、
ホットカーペットの上で、
普段見ない長編映画にひたれるくらい、
夜の時間がたっぷり長いことと、
昼の短さを穴埋めするみたいに、
太陽が、部屋の奥深くまで差し込むことだ。

いずれにしても、12月までくれば、
あれこれ忙しくなって心細さも飛んでしまう、
年が明ければこっちのものだ。
いくら寒くても、お日様はまた北半球へ戻ってくるから。

そう自分に言い聞かせながら朝の駅に向かう毎日。

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ツイッター

What are you doing?(いまなにしてる?)で繋がる、
コミュニケーションサイト。2006年サービス開始。
ユーザーは140文字以内の短文を投稿しあう、
チャット感覚のいわゆる「ミニブログ」。
Webや、APIを利用したツール等から「今していること」を登録できる。
また、他のユーザーを「following」に登録すると、
その人の「今していること」が表示される。
投稿ひとつひとつがパーマリンクを持つ。
公開されているAPIの機能が豊富であり、ツールを作成しやすい。
Twitter

オバマ大統領もつぶやいているとかで、
一躍有名になったツイッター。

「でも、芸能人やスポーツ選手と、
つぶやきあえるわけじゃないよね?」

というと、同僚があっさり

「なりすましも多いらしい」

う”ーーん。

ここが旧人類なのだろうね、私には、
深入りしないでいられる「大人な」人たちは別として、
つぶやいたくらいで、
まったく見ず知らずの人と、
「つながりあえた♪」って本気で思っちゃう人達がいたら、
なんだか危なっかしく思える。

人と人とのつきあいって、
もっと抜き差しならない真剣勝負な気がするけど……。

ふ、古い…?(笑)

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オタク文化への理解(2)

プチ・飛行機オタクを家族に持つ苦労は、
例えばテレビやなんかの上に、
空港の駐機場に見立てて、
それっぽく並べてある数々の飛行機模型を、
掃除の時、
一個ずつ持ち上げてモップをかけたり、
台の上に鎮座しているエンタープライズ号の
(「宇宙大作戦」でカーク船長が乗ってるやつです)
ちいさい部品がもげないように、
そおっと持ち上げてホコリを払うとか、
そういうことのほかにも、
いろいろとある。

「オタク文化への理解」)

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母の山ばなし(5)

両親がせっせと近所の山登りしている。

父はすでに何回か登っているが、
母なんかは今夏、富士山初登頂に成功したので、
ますます自信を深めて、
近所の山へも通いつめ、夏の限られた期間、
規定回数を登った人に贈られる「がんばった賞」をもらって、
山頂のお宮から派手なタオルをゲットしていた。

その母達がいつもいく山道の脇で、
サツキ(低木)が枯れかかっていたそうだ。

水が切れてホコリまみれ、
息も絶え絶えになっていたとかで、
以来母は家から、栄養剤の入った4㍑の水を背負って登って、
そのサツキに水をやっていたら、
元気になったといって、感激していた。

ちょっとちょっと!

無人島じゃあるまいし、
人んちの木のために、
何も家から水を背負って行かなくたって、
よかったんじゃないのといっても、
とぼけた顔をしている。

ちなみに、富士登頂した高齢の人には、
高齢登山者名簿なるものが届くそうで、
見せてもらったら、
年齢の高い順から載っていて、
一位は94歳の男性だった。

ひょえええ!

94歳にして標高3,776mに登っちゃう意志と体力には、
脱帽なのである。

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いわれなきサービス

クリーニング屋さんに行って、
クリーニングしてもらいたい衣料と一緒にサービス券を出したら、
受付のおばさんが、

「ハイ、サービス券2枚ね。
この分、割引しときます。

でもまた使ってくださいね、おほほ」

といって、たった今、
私が目の前で出したサービス券を、
そのまんま返してくれちゃうのである。

自分のお店でもない、パートさんなのに、
この人はいっつもこうなのだ。

そして私も、いっつも、

”おばさん、こんなことしちゃダメだよ!
サービス券っていうのはね……”

などと内心で説教しつつ、
「ありがとうございます」といって、
おとなしくもらってしまう。

いわれなきサービスをする従業員は、
お客にはありがたいけど、
雇い主にはやっかいだなぁ…。

でも結局もらっちゃう私も小市民(笑)

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月見草じゃない

楽天・野村監督が勇退した。

自チームはもちろん、
相手チームの選手も一緒になって、
わっしょい胴上げしたと聞いて、
あー、そうだなぁ、よかったなぁと思う。

実際、これまでいくつものチームを「再生」させてきた。

時に、憎らしい物言いで話題にもなるけど、
マスコミも毎晩のコメントを楽しみにしていた。
明るい会見でも、
お怒りの会見でも、
必ず監督インタビューがニュースになったように、
私も一貫してファンである。

高齢で荷の重いプロ野球監督を引き受けることについて訊かれて、
豪傑妻・サッチーはあははと笑って、

「あの人にとっては、
スタジアムでばったり倒れられたら、
本望でしょうよ」

と笑い飛ばしていた。

実際、
いまだに破られていない数々の記録を持つ野球屋・野村さん。

彼は自身のことを、
太陽のような長嶋に比較して、
「自分は月見草だ」といっていた。

「花は咲いても陽の当たらない、夜に咲く月見草」

いやいや、月見草じゃありませんよ。

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そりゃすごい!

夫が、身振りつきで一心に説明しながら、

「そういう時は十中百九、云々…」

といった。

百九(ひゃっく)!

すごいな、十より超えてるし。

もちろん、「八九(はっく)」のことです。

*******

大学のとき先輩が、人差し指、中指、薬指の三本を立てて、

「俺、中学くらいのとき先生に、
注意力三万っていわれた。

三万やぞ三万!すごいやろう」

もちろん、「散漫」の冗談です。

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手帳を買う楽しみ

大した予定があるわけでもないのに、
毎年スケジュール帳を買う。

安野光雅さんの絵が大好きなので、
長年、ちくま文庫の「文庫手帳」を使っていたけど、
この1年は、「内藤忍の投資手帳」を使った。

「内藤忍の投資手帳」は、"手帳"であると同時に、
投資についての基礎知識や心構えを学べる"本"にもなっていて、
手帳として使いながら1年をかけて繰り返し読んで、
実際に内藤忍氏オススメの銘柄を買ったりして、
大変勉強になった。

なぜ10月というこんなところで手帳がおしまいになったかというと、
「内藤忍の投資手帳」は、
1年のどこからでも始められるよう、
「日付を自分で書き込む」しくみになっていて、
(ここが大変面倒くさい)
私の場合、去年の秋から使い始めたからだった。

シンプルな白色で書き込みやすく、
ビニールカバー付き、
向こう1年もう1回、
「内藤忍の投資手帳」を使うかどうか迷ったけれど、
結局、
「日付を自分で書き込む」ってところが面倒なので、
他のにすることにした。

すると、こんな、1年の途中で手帳がおしまいになった人用に、
日付を自分で書き込まなくても、
「10月始まり」になっている手帳が、
ちゃーんと売っていたのだ。

便利な世の中だなぁ。

手帳を選ぶのは楽しい。

でも、たぶん、
あれにしようか、こっちもいいなと、
迷っているうちが一番楽しい。

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すがすがしいんだが

昨日、食事していたら鍋料理の話になって、夫が、

「ほら、
『トゥモロー・モーニング』って書いてある、うちの白いホーローの鍋で…」

という。

ストップ!ストップ!

うちの白いホーローの鍋に書いてあるのは、
『トゥモロー・モーニング』じゃなくて、
『アフタヌーン・ティー』だからさ。

百貨店にも入ってる人気雑貨店だよ…。

ま、すがすがしくていいけど……。

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おしゃれイズム

先日のおしゃれイズムのゲストが、
妻夫木クン・小栗クン・瑛太クン・三浦クンという、
豪華イケメンカルテットだったらしくて、
それを知らせてきた姉のメールが、
「ほんの目の保養」といいながら、
ハートマークがいっぱいついている。

私も偶然、4人がタコの絵を描くところだけちらっと見たけど、
あそこでビートルズのまねっこの格好をして、
でははと笑っていた妻夫木クンより、
「天地人・第39回」でザンバラ髪に破れかぶれのどろどろの衣装、
石田三成の無念を思いながら、
血の涙を流していた妻夫木クンの方が、
100倍もかっこよかった。

個人的には、
イケメンと呼ばれる人たちにはむしろ、
劇中人物のイメージが壊れるから、
ドラマが終わるまでだけでも、
バラエティなんかに出ないで欲しいなぁ…。
ま、ムリか(笑)

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天下の回りもの

お昼休み、雨の中を、近くのレストランに行き、
「ごちそうさまー」といって店を出るとき、
傘がなくなっていた。

みんなで傘立てを取り囲んで、
わいわい探したけど、
私のビニール傘は消えていて、
変わりに、似ているけど違うのが2本、
残っていた。

「前が見えて明るい」という理由で、
私はそもそもビニール傘が大好きなのである。

その上、持ち手も骨もしっかりし、
長さも65センチのジャンボタイプ、
普通の傘と遜色なかったので、特に気に入って、
私のビニ傘にはもち手のところに、
ニワトリのシールが貼ってあった。

持ち去った人はどこかのタイミングで、
もち手のところにニワトリのシールが貼ってあるのを見つけて、
ぎょっとするだろう。

昔、ぱんきちが耳鼻科に行って帰ってきたら、
自分の安物の赤い傘が、
クリスチャン・ディオールのに変身していたそうだ。
赤いのはそれしか残っていなかったから、
前の人が間違えたのだろうけど、
元の持ち主は、クリスチャン・ディオールが安物に変身していて、
私なんかより激怒だろう。

でもまぁ、傘は天下の回りものだからね…。

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シャンプー

美容院に行った。

シャンプー台に横になり、
頭を他人に預けて目をつぶるといつも、
聴覚や嗅覚、
触覚(主に頭皮の)がするどくなるのがわかる。

顔にかけられるタオルの香りはもちろん、
ちょっとした物音や人の話し声、
お湯の温度や勢い、
つけられるコンディショナーが、
さらさらか、ドロっとしているか、
いま、すごく泡が立っているようだというようなことまで、
まるで上から見ているみたいに、
ありありと感じることができる。

今回の担当はまだ若い女の子だったけど、
手のひらを精一杯使って、
頭のスミズミまで洗い上げてくれ、
時々ツボのマッサージなんかもしてくれて、
本当に気持ちよかったので、「お疲れ様でした~」といって、
シャンプー台を起こしてもらうとき、

「気持ちよかったです♪」といったら、

向こうがびっくりして、

「え!ほんとですか?
あ、ありがとうございます」

一瞬、仕事モードでなく、素のその子に戻った。

夫は髪や髭を他人に触られるのがいやらしく、
一刻も早く終わらせたいので、のんびりおしゃべりしながら、
ちんたら髭をそられたりなんかしたら、
泡まみれのまんま逃げ出したいくらいらしいけど、
いや~、シャンプーしてもらうのは、
私には本当に気持ちいい♪

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ねこきちだけど

ジョギングに行くのに、走れる格好をしてタオルを持ち、
ウオークマンも首からかけて、
スニーカーの紐を固く結んでから、
何か飲んで行きたくなった。

夫に、

「牛乳が残ってるから一杯くんでくれる?」

といったらキッチンで、冷蔵庫を開けながら夫が、

「お皿でいい?」

いや、コップでお願いします。

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毎日呼吸している

この連休を利用して、夫が副鼻腔炎の手術をした。

術後一週間は基本、自宅療養なので、
普段助手席の私が「ヘタ!」と怒られながら(笑)運転して、
点滴に通ったり、経過を診てもらいに行ったりで、
地味なシルバーウィークだった。

副鼻腔炎の手術は今やポピュラーなものだけど、
知られざる苦労がいろいろとあり、
例えば術後も少しずつ出血しているので、
自然に治癒するまで
メスを入れた部分にガーゼを詰めっぱなし、
普段の生活がいろいろと制限されてしまう。

私達は普段、当たり前に呼吸して、
ご飯を食べたり、おしゃべりしたりしているけど、
ひとたび両鼻にガーゼを詰められてしまうと、
鼻の奥に流れるはずの涙(悲しくなくても目を潤している分)が外側へ出てきて、
ずっと涙目だったり、
空気の抜け道がないから、
水を飲むのも一苦労なのである。

だから、自動車も運転できないし、
頭に血がのぼって出血するという理由で、
アルコールも、湯船に浸かることも禁止、
なにかと不自由だった。

よくがんばったと思う。

待ちに待ったガーゼの抜き去りは、
楽しみだけど、
麻酔がない分、一番痛いらしく、
ちょっとビビッている様子。

完治したら、松茸の土瓶蒸しでもしようね~!

ともかくお疲れ様でした。
(※みなさん、鼻炎は甘く見ないで早めに治したほうがいいですよ)

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捕り物帳

今年の夏、ある日帰宅すると、
先に帰っていた夫が深刻な顔をして、

「実は、大変なことになってる」という。

”なにごと!?”と身構えたら、
なんでも、帰ったらリビングにコオロギが居て、
救い出してやろうとして、
両手をお椀の形にして近づいたら、
窓のそばからテーブルの下を通ってファックスの方に跳び、
そこでUターンしてリビングを横切り、
テレビの裏に入ってオーディオセット辺りで姿を消したそうだ。

必死の捕り物にも関わらず、取り逃した夫は、
ボーゼンと立ちすくんでいたらしい。

途中、脚を使ったジャンプではなく、
羽で飛んだというのだ。

「羽で!?」と私。

「それ、小さいゴキブリじゃないの?」というと、
夫は頭をブンブン振って、
「ちがうって、ちがうって!コオロギだって!」

だったら蚊取り線香が炊けないのである。
(注:うちには蚊は滅多に入りません)

「困ったねえ」

とりあえず寝室には来てもらわないようにドアを閉め、
その日は消灯。

翌朝、夫が「個室に入って瞑想」していたら(トイレです)、
また遭遇したそうである。

コオロギは無事捕獲され、
写真を撮られたあと、
マンションの高層階からダイブした。

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毎夜の酒盛り

天気がよかったので、思い立って高野山に行った。
天気がよくて思い立って高野山に行くのは2回目。

高野山にある歴史的建造物はどれも、
京都のワビサビ的ちんまりした雰囲気ではなく、
奈良と同様、なにごとも「大陸的」というか、
どどーんとでかい。

でも今回は、
前回行った根本大塔等ではなく、「奥之院」に足を踏み入れる。

奥之院というのは、弘法大師が入定した地で、
それにあやかってか、
ずーっと向こうまで大小さまざまな供養塔が建っている。

樹齢何百年という一抱え以上もある杉の木が、
何本も何十本も、
天に向かってシューっとまっすぐ林立していて、
一帯は薄暗い。
でも、その木々の合間から、
木漏れ日がきらきらきらきら、
あ~、マイナスイオンが降ってくるぅ、
マイナスイオンが降ってくるぅ。

一番古いとされている杉は740年モノで、
高さは56メートルあるそうだ。

それらの木の根元に、本当に苔むした大小の墓石が、
いくつもいくつも鎮座している。

木々に守られた空間で、子ども達は走り回っているし、
あちこちで、笑い声が聞こえ、
お墓だらけというのに、辛気臭いところがぜんぜんなくて、
こりゃあ、明るいお墓銀座だな。

最初、

「お墓で写真ってのはやっぱ、マズイんじゃ…」

とかいっていたのに、
えっ、豊臣秀吉の!?うそ!
えっ、織田信長!?まじ?
とかいっているうちに、パシャパシャパシャパシャ。

上杉謙信/伊達政宗/武田信玄/明智光秀、
毛利も島津も、
全員が真言宗だったとはとても思えない人たちの霊廟が、
残らず勢ぞろいしている。

いやー、被写体としても、
歴史的にも、見所満載だった。

あれだけの戦国武将、各国大名が勢ぞろいしているなら、
高野山上は今夜も酒盛りだな。

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銀行の袋

夫が自治会の書類を提出するのに、
なんでもいいから小さい封筒が欲しいという。

私が普通の、無地の封筒を出したら、
夫は頭をぶんぶん振って、

「そ~んなちゃんとしたのじゃなくていいって!
もっとほら、銀行の袋みたいなので」

紙幣袋のことらしい。

私はむうっとして、
低い声で、「上げられないね」と答えた。

「だって、そっちの方が希少価値が高いもん」

「え!そうなの?」とびっくりして夫。

私がストックしている銀行の袋というのは、
住友銀行のバンクー(くまのキャラクター)柄のや、
あさひ銀行のミッフィ柄のや、
さくら銀行のさくら柄のや、
富士銀行のロゴが富士山だったころのものなのだ。

「あさひ銀行も、さくら銀行も、富士銀行も、
そういう銀行は、
銀行からしてなくなっちゃったんだから、
袋だってもう二度と手に入らないんだよ!」

「あー…」

夫は私の剣幕に押されて目を白黒。

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今日も離発着してます

先週末、関空へ行った。

「空港へ行った」

というとみんな、

「えっ、なにしに!?」

と身を乗り出すけど、
空港というのは、
飛行機グッズが売っていて、レストランがたくさんあり、
海外に行く人や、行って来た人でざわついていて、
いろんな国の、いろんな飛行機が、
次々飛び上がったり、
舞い降りたりしているのだから、
別に見送りや出迎えという用事がなくても、
しょっちゅう行って楽しいところなのである。

ちょうど離発着のラッシュだったらしく、
展望台からも、
たくさんの飛行機が見えた。

その日の目玉は、エジプト航空と、エアインディア。
大阪なんかの一地方都市から、
カイロまで、ひとっとびしてしまうのである。
直行便が激減している関空にあっては貴重なのだ。

ぐわーっと轟音をたてて舞い上がると、
他の機体より離陸角度がだんぜん浅い。
燃料をたくさん積んでいて重いから、
徐々にしか上昇できないのだ。

飛行機はどんなに図体がでかく、立派でも、
離陸するその刹那は、こころもとなく見える。

離発着表を見ていたら、
「到着地 リュブリアナ チャーター便」というのがあった。

写真を撮るのに忙しい夫に、
あとで聞いてみよう!と思っていたら、
合流するや夫が、「リュブリアナってどこ?」と聞く。

帰って調べたら、スロベニア共和国の首都だった。

スロベニアの人も思っているだろう、
「OSAKAってどこ?」みたいな(笑)

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タオル好きずき

新しいバスタオルを買ったので、
古くなったのを捨てようと思う。

「どれか捨てたいんだけど、
こっちとこっちとどっちがいい?」

というと夫が、
私が手に持った2枚のタオルをチラッと見て、

「あー、どっちもまだまだ現役」

そうかなぁ、もう充分だよ、
お役ごめんじゃない?

「僕、どっちかっていうと、
ガッサガサのが好きだからなー」

えへー?
そうなの?

だって、タオルは”ふかふかさ”こそが命なんじゃ……

ガッサガサのが好き?

えへー?
そう?

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そんな日曜日

自民党が大敗した。

大勝した民主党は、
各国お偉方の誰ともお近づきでなく、
外交手腕が皆無といわれているし、
当選者の多くがシロート、
話題性はあっても、
政治の専門家がどのくらいいるんだか、
本当に一国を担っていけるのか、不安だらけ。

でも、みんなそんなことは、
もしかしたら、民主党になることで余計、
ぐっちゃぐちゃになるかも知れないってことはわかっていて、

「あたしたちゃ、怒ってるんだぞ!」

ということを、示したかったんだなぁ。

自民党政治に対して、
堪忍袋の緒が切れたってところか。

そんな先行き不透明な日曜日、
珍獣ハンター・イモト、
きみきみ、よくがんばった!

生き馬の目を抜くといわれている芸能界にあって、
彼女はピュアなままだと思う。

これからも応援してるよ!

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アジア通

年を取れば取るほど、
「自分はアジア人だなぁ」と思う。

たっぷりの湯船に浸かって、鼻歌を歌っているとき、
ヨーロッパには風呂釜のない国があると聞いて、
「自分はアジア人だなぁ」と思う。

そんなアジアをテーマにしたブログを、
元同僚のアジエンヌさんが開設したので訪問した。

『アジア日和』

明るい色合いで、アクティブな彼女らしい。

彼女は実際、アジア各国に訪問歴も多く、
一般的知識はもちろん、
現地人しか知らないような事情にまで精通していて、
東南アジアの農村で、のんびり草をはんでいる牛が、
ことのほか好きなのだそうだ。

農村に限らず、
牛をシヴァ神の乗り物と考えるインドでは、
つなぐ習慣がないから、
どれが家畜でどれが野良やら、
車がぶんぶん行き交い、電車が通る街中でも、
普通にもぐもぐしているらしいけど。

アジエンヌさんは写真もうまい。

特に静物の撮り方が上手で、
そのまま雑誌に使えそうなくらい。

アジアが持つ長い歴史と文化、
そして現代に抱える問題、
素(す)のアジアに触れられそう。

これからはアジアの時代らしいから、
先取りってわけ。

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ベランダでやるバーベQ

週末、夫がホームセンターでバーベQセットを買ってきた。

セットといっても、立派な脚がついた、
繰り返し使えるものではなく、ほんの数百円の使い捨て。

アルミトレイの中に炭と固形燃料が入っていて、
火がつきやすいように上から紙のおおいがしてあり、
買った人が悪さしないように、網で固定したものだ。

それをベランダに据えて、バーベQした。

火をつけるといきなりぼうぼう勢いよく燃え、
お肉も一気にじゅうじゅう焼けて、

「はやくはやく!うつわうつわ!」

夫は汗だくになりながら焼き物を仕切る。

たまねぎ・にんじん・海老・ししとうなんかも焼く。
思いのほか、どれもおいしい。
特にお肉は、余分な脂が充分落ちて、それでいてジューシーで、
やっぱ、炭火焼っていいなぁ。

具材がなくなり、お腹もひと段落したころ、
炎はおさまって、
代わりに、
真っ赤な、売りに出せるような上等の炭火ができていた。

「あー、せっかくできた炭、もったいないねぇ」
「でも、勢いがない。こんな静かな遠赤外線じゃ、
お腹すいてるときは、間に合わない」

数百円で本式にバーベQできるなら、
ごきげんだなぁ。

(マンションのベランダでバーベQなどしてはいけません)

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ご近所のカメ

いつも行く公園の池に多数のカメがいる。

「あー、いるいる、
あっちにもこっちにもいるなぁ」

と思いつつ、
数えてみたら20匹くらいいた。

そこは、もとは天然の、
放置された「ため池」だったところを、
無理やりちゃんとした公園の池にしたので、
カメが這い上がって休憩する場所がほとんどなく、
浮島もまんなかにひとつだけ、
その浮島さえ、夏場は雑草がぼうぼう生い茂って、
とても這い上がれる状況じゃないのだ。

用水路などで見かけるカメはよく、
コンクリートなどの上で、
首だけぎこちなく伸ばして、ぼ~っと座っているけど、
その池のカメはそんな風に優雅に休憩する場所がないので、
せわしなく手足を動かして、ずっと立ち泳ぎしている。

そうそう、全国カメ立ち泳ぎ選手権で上位入賞するくらいに。

カメが「のろま」だといったのは、どこのどいつだ!?

ところでカメって、鳴くの?

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8月の三日月

お昼休みに同僚が、

「世界陸上も終わっちゃって、あ~さみしい…」

といった。

そうこうしているうちに甲子園も終わったし、
空気が澄んで、風がさわやかで、
ノースリーブの人が季節はずれに見え、
一気に夏が終わったような、
そんな一日だった。

イチゴシロップ色の夕焼けがみごとで、
まだ暮れきらない残照を横から受けた三日月が、
天体観測用の模型みたいに、くっきり浮かんでいた。

その様子を、スーパーに行く橋の上で、
よぼよぼのおじいさんが、
一眼レフを構えて、一心に写真に撮っていた。

そんな一日だった。

夏が終わっちゃうのかぁ…

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府庁舎移転計画のゆくえ

今年のはじめ、
大阪府庁舎のWTC移転が府議会で否決されたとき、
橋下知事は淡々と、

「これが民主主義です」

といって、自分の独裁が通らないこと認め、
あきらめたかに見えた。

でも違ったのだ。

ここへ来て、

「いったん辞任して再出馬することで、
府民の信を問うことも考えなくもない」

とかいっているらしい。

人気の橋下知事が再選されることは目に見えているので、
府議会は慌てているというはなし。

そもそも、反対理由は下記の通り。

 主な反対意見は、
「WTC庁舎は災害に対してまったく無防備」など防災上の不安のほか、
「WTCはそもそも不便なところ。交通費も高く、時間がかかる」といった利便性の問題を指摘したものもあった。
また、「財政危機といいながら何百億円もかけて庁舎移転に金をかけるのは納得いかない」
「優れた近代建築を使いながら府政をできる」
「移転がもっとも安あがりというが、前提は現庁舎跡地の売却で、保証はない」
などの意見もあった。

 一方、「移転で臨海部の価値が高まり、開発・インフラ整備が進む」
「上町断層の真上に建つ現庁舎は恐ろしい」
「ネット環境が整ったビルに事務処理の多い府庁を置くのはいい」
などの賛成意見も寄せられた。(産経ニュース2009.3.19)

どうなるんだろ、面白くなりそ~。

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情報の出どころ

家から見える駅前に、新しいビルが建ちつつある。

もう外観はできあがって、
灰色の建築資材で囲われて見えないけど、
中では日々、内装が進んでいるんだろう。

どんなテナントが入るか楽しみなのに、
ぜんぜん情報が入ってこない。
思い切って、「2ちゃんねる」にまで足を踏み入れてみたけど、
満足な情報は得られなかった。

そんなとき夫が、

「あそこ、ニトリが入るらしいね」と、自慢げにいう。

「えっ、そうなの?何で知ってるの!?どこからの情報?」

私は他のお店情報も知りたくて食らいつく。

すると夫は、

「それはちょっと教えてあげられないなぁ」

ちぇっ、何だよう、もったいつけて。
けち!

しばらくして、ベランダに出てあくびしていたら、
その建築中の建物の殺風景な横っつらに、
でかでかとポスターが貼ってあった。

「ニトリ、初冬オープン!」

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上限なし

親友のトモチが帰省したので、ふたりでお茶した。

トモチはとある街の、シルバー人材紹介所で働いているが、

そこでも、徐々に景気回復の兆しが見えるという。

「シルバーって、年齢の上限はいくつなの?」

と聞くと、トモチはちょっと考えて、

「え?上限?……ない」

「え、ないの!?」

植木職人さんとかが人気だそうだ。

植木の手入れそのものはもちろん、
元・植木職人さんしかできないが、
その元・植木職人さんについてって、
庭の掃除をしたり、梯子(はしご)をかけたりする手伝いなら、
どんなひとでもオーケーだそうだ。

年齢制限なしか~、魅力だな~。

シルバー人材センターの求人とか見て、
ずっとできる仕事について考えよう。

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ブタさん

少し前、外出していると、「どれがいい?」と、
夫から写メが届いた。

陶器でできた、まぬけな感じのブタと、
とぼけた感じのカエルが写っている。

忙しかったので、

「カエルでもいい」

とだけ打って帰宅すると、ブタが待っていた。

夫の腹は最初っから、「ブタ」と決まっていたのだ。

陶器のブタはもちろん、
ただの置物ではなくて、中で蚊取り線香を炊く、アレである。

そんなやりとりがあったことをすっかり忘れていたが、
以前、「ブタの蚊遣りが欲しい」と夫がいったとき、
私は「部屋がすすけるからダメ!」と、
けんもほろろに答えたらしい。

夫は、今回やっと買えたブタの蚊遣りがすごーくうれしいらしく、
あっちこっちに連れ歩いている。

ある日、帰宅すると、
ブタが玄関にひっそりたたずんで煙を吐いていたこともあるし、
お風呂から出たら脱衣所に居てぎょっとしたこともあるし、
リビングはもちろん、
夫が無理やり「書斎」と呼ぶ小部屋に連れて行かれていたこともある。

あーあーあー、
でもさぁホラ、この、ブタのお尻に開いた大穴から見てごらんよ、
背中の裏が、まっ茶っ茶にすすけてるじゃない?

家の中も、こんな風になるんだからね~。

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サロンコンサート

今回の帰省で、
父が年に数回行くサロンコンサートに参加してみた。

サロンコンサートというのは、
主に個人のお宅のリビングなどで、お金儲けに関係しない、
心ある人たちが主催している、
音楽家の卵達の、ちっちゃいコンサートのことである。

演奏料もちょっぴり、
人集めも、会場の準備もすべてボランティアで、
その代わり、
すぐ目の前で、ナマの音楽を聴くことができる。

今回はとあるお金持ちのお宅の半地下に作られたスペースが会場で、
100人弱入れる立派なホールは、まずまずの人の入り。

音楽家の「卵」といっても、すでに有名な音大を卒業し、
数々の賞をもらって、
地域の楽団などで演奏している人たちだし、
なんといっても、すぐそこから、
音楽の波動を感じることができるのだから、贅沢なのである。

モーツアルトなど聴きながら、
何回も眠りに落ちそうになった。

でも、パイプ椅子上で眠くなるっていうのは、
それだけリラックスできたってことだよね?

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夏の高校野球大会

連日、甲子園で熱戦が繰り広げられている。

日々、一校、また一校と勝ち上がる同じ数だけ、
一校、また一校と去っていく。

何十、何百という地元の高校の中から、
勝ち上がって代表となり、
遠くからやってきながら、
わずか数時間で去らねばならないところもある。

大舞台の雰囲気に呑まれるのか、
暑さに参るのか、
あり得ないエラーを量産し、
あたままっちろになったまま、
気づいたら負けていたというのがほとんどだろう。

実力、気合とも備わっていてさえ、
何年か、何十年かに一度、
勝ち取れるか取れないかの出場のチャンスを思うと、
見慣れた風景とはいえ、
彼らがしゃがみこんで砂を持ち帰る姿に、黙り込んでしまう。

それにしても、
近頃の高校球児は、帽子をきちんとかぶらないんだなぁ。
ほら、この子も、さっきの子も、
あみだにかぶって、頭の先に乗っけているだけ。

坊主頭には坊主頭の、
流行があるんだなぁ、きっと。

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残暑お見舞いっ

やあやあ、みなさん!
毎日、毎晩、あっつぅございますが、お元気ですかい?
やっと戻ってきましたぁ(^ー^)/

今回食べ歩いたお店を一部ご紹介!

E.H BANK(JR・阪神元町駅から海側へ7~8分?)

帰省すると時々行きます。

回転ドアをぐるっと回すと、
高~い天井、
座高の倍くらいまで背もたれのある奥行きの深~いソファ、
さすが、もと銀行だったレトロビルをそのまんま利用して、
重厚な雰囲気にしたカフェ&バー。

お味は普通だけど、
たった1000円で、なんとなくパリにいるような、
ちょっとリッチな気分になれます。

朝5時までやってるので、たっぷり時間のある人は、
夜明けまで粘ってもよし。

ちなみに、父に紹介したところ、
回転ドアを半分回して店内に入り、
”あ、場違い…”と直感して、
そのままもう半回転して、
つまり、回転ドア一周して出てきたそう(笑)

ステーキランドKOBE(各線三宮駅1~3分)

夫と一緒のとき、時々連れて行かれます。

どの席に座っても、磨きこまれた鉄板が見え、
目の前でお肉や野菜がジュージュー調理されていく様子を見ることができ、
サラダ、ライスとお味噌汁、お漬物付きで、
ランチは\980~本格ステーキが食せます。
テンダーはよりやわらかくて美味。

ただし、カバン等、持ち物はもれなくステーキ臭くなります!

また、開店と同時に、常連客がどっとなだれ込むので、
入店時間にはご注意。(ランチは11時からです)

ラ・カスエラ(各線三宮駅3分・ミント神戸8F)

今回初トライ。

日本の新鮮なものを使った、スペイン風居酒屋。
夜なのに2680円のセットはデザート付きで大満足。

是非、
お店でスライスされるハモンイベリコの生ハムをご賞味ください。

などなど!

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色っぽい

夫方の姪っ子が帰省したので、
夫の実家へ遊びに行った。

Mちゃんは3歳児にして、
週数回通う「慣らし保育」で、
5歳児と同じことをちゃんちゃんとやってのけ、
英語はもちろん、バレエなんかも習って、
口ぶりも大人みたいな、
おませさんなのである。

夫が、古いおもちゃを出してきた。

薄く平たい金属製のコイルが、
直径7センチくらいの大きさで、
延々何メートルも巻いてあるだけのシンプルなものだけど、
段々の上のほうで、
一部を残したまま次の段へ降ろしてやると、
あとは自分の重みで、次々と段を降りていくというもの。

同じおもちゃがうちの実家にもあったので、
とてもなつかしい。

Mちゃんがやりたいというので、
クーラーもない階段で、ふたりで延々遊んだ。

どんなにおりこうでおませさんでも、
そこは3歳児なのである。

同じことを何回も何回も繰り返す。
登っては降ろし、登っては降ろし、
きゃっきゃとはしゃいで、まだまだ繰り返す。

挙句の果てに、自分で輪っかを踏んづけて、
途中で円が「いびつ」になっても、
きゃっきゃ、きゃっきゃと、そこは3歳児なのである。

「もう一回やろう!」といって、
威勢よく段を登っていく。

そして、階段の上から、パンツ丸見えの姿勢で、
不意に、

「しばらく、うちに来ない?」といった。

は?
なんですと?

その口ぶりがあまりに色っぽかったので、
ぎょっとしてしまったのだ。

Mちゃん、おどかさないでよう、
おばさん、びっくりしたわぁ。

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た~まや~

ゆうべ、オールスター戦を見ていたら、
どうも外で異音がする。

「おっかしーなー、
さっきからなんか、聞こえるよね」

「あっ!花火だよ」

ベランダの窓から遠くに、花火が上がっていた。

青・赤・緑

まあるいのや、滝みたいに落ちていくの、
ぱちぱち弾ける線香花火のでっかい版。

遠いので、色とりどりの姿にだいぶん遅れて、
どーん、どーん、
ぽんぽんぽぽぽん…と音も届く。

「た~まや~!」

私はいつか、花火師さんの仕事が見たい。
わずか数十秒の大輪の花のためにかける技。

「あ、この花火ってばもしかして、もうすぐ私の誕生日だからじゃない?」

というと夫が、

「あっそ…、そうだよね(^-^;)」

無理やり同意。

なははは…、
おめでたい奴(自分)

で、それはそうと、「た~まや~」って、
なに?
Photo

花火&夏祭り情報

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宇宙語

私の留守中に夫が、近くのスーパーに行くという。

「じゃ、文房具のところで、
ペネロペのレターセットと、
はらぺこあおむしのメモ帳買っといてくれる?」

すると、

いち、

に、

さん、

3秒くらい経ってから、

「ごめん、もう一回いってくれる?」

夫は、私がときどき、もといた星の、
宇宙語で話すので、困惑している。

Penelope ペネロペのレターセット
Aomushi はらぺこあおむしのメモ帳

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……見えた?

夫が近所のおもちゃ屋や本屋さんを探し回ってくれたけれど、
結局、日食メガネはゲットできなかった。
ネットオークションでは、1500円のが1万5000円に暴騰していたらしい。
天気予報も、あいにくの曇り時々雨。

だから仕方なく、普通に出勤した。

10時半ごろ、代休を取って自宅にいた夫から、
「雲越しに見えてるよ!」と連絡が入る。

「普通ならまぶしくてメガネなしじゃ見えないだろうけど、
雲があるから、雲越しに、欠けてるのがわかるよ」

どれどれ?

11時前にオフィスを抜け出して、広場へ行くと、
すでに数人の人がくちを開けて空を見上げながら、
「ほらほら、あそこあそこ」と指差している。

私も仲間入りしてくちを開けて空を見上げた。

厚い灰色の雲が、じれったく、ゆっくり流れていく。
やっぱりだめかなぁ…。

「悪石島はどうなの?」

夫に電話をかけて聞いてみた。

「だめみたいだねぇ」

「せっかく機材を持ち込んでわざわざ行った人たちには、
見せてあげて欲しいよね」

だんだんクビが痛くなってきた。
やっぱりだめだなぁ…。

あ……!

雲が薄くなったところに、かすかに新月のさかさまみたいのが……!

「あ、これでいいんじゃない?これでいいんじゃない?」

わー、一瞬だけど、見えた♪

午後、省エネ係の人が、蛍光灯をひとつ消したら、
真下の席の人が驚いて顔を上げた。

「あ、すみません、暗過ぎますか?」と省エネ係の人。

「いや、びっくりしただけ」と真下の人。

「日食かと思て」

みんな、見えたかなぁ…。

(↓夫がどうにか普通のカメラで撮った写真)
Img_5233
Img_5203

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オタク文化への理解

私はオタク文化に理解があるほうだと思う。

生身の女性とつきあえない人たちのロリコンアニメ好きや、
ホラー趣味等々はキモチワルイけど、
それ以外は例えば鉄道オタクや帆船オタク、
ガンダムオタクも理解できる。

私が、「高校くらいのとき、『はらだおさむ』にハマってさぁ、
オサムグッズファンクラブに入ってたら…」と話し始めたら夫が、
「わー、やめてやめて!聞きたくない」と耳をふさいだ。

夫はオタク文化が怖いらしい。

我が家には、無数の飛行機雑誌、
もう売っていない飛行機のビデオやDVD、
30機以上の模型…などがあるので、
プチ飛行機オタクだといったら、
夫はあたまをブンブン振って、「断じて違う」と言い張る。

「ほんとのオタクはこんなもんじゃない!」

スーパーマーケットからの帰り道、
その夫が両手に買い物袋をぶら下げたまま、
道端でぱたっと足を停めて、

「ほら、いま『ゴー』って聞こえるでしょ、
あれが、関空から飛び立った飛行機の音」

「……?」

「で、もうひとつ『コー』っていうのも聞こえるでしょ、
あれが、大阪空港に降り立つ飛行機の音。
ね、違うでしょ?」

マッタク、ワカリマセン。

……っていうか、私、
「ゴー」って、ひとつしか聞こえなかったし!!

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日常のひとコマ

休日の昼間に、夫と掃除していたら、

「あ、お腹減ったの?」

な、なんでわかったんだろう?

図星だったのでギクッとしていたら、

「だって、だんだん口数が少なくなってきたから」

……ちぇっ。

もっと奥行きのある人間になろう。

-----------

朝、起き抜けに、「あっ!痛いっ(泣)」というと、

「えっ、だいじょうぶ?」と夫。

「うわぁ~、寝違えたみたい(涙)」

「どこ?」

「手のゆび」

「……」

ほ、ほんとなんだって!

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ちらっ

夫に教わってよかったことのひとつは、
例えば「ちらっと振り返る」である。

振り返るといっても、
「人生を振り返る」とか、
「今日のおこないを振り返る」とかいう高尚なことではなくて、
電車を降りるとき、
さっきまで座っていた場所を振り返って確認する、
ということだ。

それまでは、目的の駅に着いても、
「ハイ、着きました」という感じで、
ただすたすたドアに向かって歩いていたが、
最近では、
落し物をしていないか、
忘れ物をしていないか、
席を立ったあと、ちらっと振り返る。

それが無意識にできているので、
「ああー、私も進歩したなぁ」としみじみ思う。

でも先日、
リビングでテレビを見ていたら夫が廊下をやってきて、

「コラッ!あんなところで店を広げない!」

といった。

なにごとかと見に行ったら、
わりとふかふかの玄関マットの上に、
定期入れ、財布、ウォークマン、
ハンカチ、ティッシュ、鍵、ヘアゴム、
受け取ったチラシ、化粧ポーチ、本等々が、
露店みたいに散らばってた。

あー、そうそう。

カバンの中の「小さい探し物」をしていて、
見つからないので、
中身をぜんぶ、ぶちまけたんだった。

忘れてたよ、あはっ。

ま、そういうこともある。

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ヨットハーバー

いいお天気だったので、車を出して海までいった。

小さいヨットハーバーがあって、
白を基調に、
コバルトブルー
トルコブルー
ネイビー
ロイヤルブルー
いろんな青を使った数十隻のヨットが係留され、
風があるので、上下する波に合わせて、ゆっくりゆらゆらしていた。

英語で、
「a sort of helicopter or yacht people」といったら、
社会的に成功し、享楽にお金を使う人たちのことらしい。

なんか、わかるなぁ。
ヨット持ってたら、すごいよね。

岸壁に若い男の子達が上半身ハダカで寝そべって、
わざと日焼けしている。

私も木のベンチに座ってスニーカーを脱ぎ、
あぐらをかいて、足の裏の甲羅干し。

あ、足の裏干し。

水平線の上に、あとからあとから旅客機が現れて、
みんなゆっくり旋回して、
関空に降りていく。

時々、風が強まって、
係留されたヨットの、帆をたたんだマストが、
ヒュオ~
ヒュオオオオ~と、
ヨットとは思えない哀しげな音を立てた。

夏らしい、いいお天気だった。

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がっかり家電・びっくり家電

ここ数年のうちに買い換えた家電のうち、
がっかりしたものは、がっかりした順に、

1位:電気ストーブ
2位:洗濯機

だった。

電気ストーブなんかは、「スムーズな首振り」機能が付加されたくらいで、
私の小さい頃からほっとんど何にも進歩していない。
洗濯機も、いろんな場面で音楽が鳴るくらいで、
感激しちゃうような機能は増えていないどころか、
洗濯物を少ししか入れないと、ドラム内で偏るからか、
買ったばかりというのに、
先代のがつぶれる直前の断末魔の叫びみたいな、
がったん音を響かせたりする。

一方で、進歩にびっくりした家電は、
びっくりした順に、

1位:複合プリンター
2位:DVDレコーダー

DVDレコーダーはまだまだ成長シロがあるに違いないと、
数年買うのをガマンしていたら、
なんのなんの、充分成熟していて、
こんなことなら細々ビデオ録画するのなんかさっさと辞めて、
もっと早く買い換えればよかった。
複合プリンターに至っては、
2万円ちょっとでこの機能、この利便性とは、
よくもまぁ、ここまで技術を追求したものだと思う。

DVDレコーダーは買換えではなく、
ビデオデッキ、DVDプレーヤーに追加して買った。
プリンターも、まだ前のが使えていたけど、
つい買ってしまった。
その辺りなのかも知れない。

白物家電はどこのお宅でもある代わりに、
新しい機能が付加されたからといって、
壊れてもいないのに、滅多に買い換えない。
とことんまで使い切る。
とことんまで使い切るからこそ、
「おおー!」という進歩が欲しいのだけど、
もう成長シロがないのか、
その「買い換えなさ」が劇的な進歩を生まないのかも。

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おばけ化

実家の小さな庭は、
母が脈絡なく直植え(じかうえ)した花や、
大小さまざまな植木鉢で足の踏み場もなく、
ジャングルと化している。

母は風邪で寝込んだりして花に水をやれないと、
夢でうんうんうなされる人で、
だからもう、いつか忘れたくらい昔から、
一年365日、ずーっと植木の世話をしている。

その母が、HB-101なる植物用栄養剤を買って、
「すごいの」という。

「葉っぱも大きいし、色も濃くなって、
茎も太いし、バラの花なんか、いつもの年の3倍くらい」

まさか。

そのHB-101をちょっとわけてもらった。

家に帰ると夫がさっそくボトルを取り出して調合する。

「調合」といったって、水で薄めるだけなのだ。
1000倍だから、1リットルにわずか一滴。

別にどうということもない。普通の水と変わらない。

ところが、そいつを夫がせっせと世話をしている観葉植物にやって、
日中陽に当てたところ……。

「なっ……!」

辛うじて冬を乗り越えた黄緑が、濃い緑色に変身し、
茎もぐーんと伸び、
びっくりするぐらい葉も茂った。

パキラという小さい木の葉なんかは、
冬の間、生きているのかどうかもわからないくらい音沙汰なかったのに、
今や傘にできるくらい、おばけ化した。

「な~んか、麻薬でも入ってるのかナァ。
こわいねぇ、葉っぱ、毎日、ハイになってたりして…」

いやいや、「天然植物性活力液」といって、
すべて植物から抽出した成分だそうだ。

Hb101

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トラウマ

同僚は、カップ麺が苦手なのだそうだ。

昔、お湯を注いだ直後にかかってきた電話が長引いて、
ようやく戻ってフタを取ってみると、
麺がスープをぜ~んぶ吸って、
うどんみたいになっていたらしい。

それはそれはグロテスクだったという。

以来、その光景がトラウマとなって、
カップ麺にお湯を注ぐことができなくなった。

また別の人は、カップの焼きそばを、
怖くて作ることができない。

所定の蒸らし時間が過ぎて、
慎重に「湯きり」していたら思いがけなくフタが外れて、
せっかくいい具合にほぐれた麺が、助けるまもなく、
「かやく」もろとも、
流しにドサッと落ちてしまったそうである。

それはそれは無残で、同時に無念だったそうだ。

以来、その光景がトラウマとなって、
カップの焼きそばに手を伸ばすことができない。

人はそれぞれ、トラウマを抱えているものだ。

ま、カップ麺くらい別にいいんだけど。

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セコムしてますか

同僚のお宅ではセコムしているそうである。

セコムしていると安心だけど、苦労も多いらしい。

例えば飲み会の晩、
「今夜は飲み会だからね」といってでかけても、
両親が「全員家にいるモード」にセットして寝てしまうので、
夜遅く彼女が帰って鍵を開けると、
「ジリリリリ…!!」とけたたましくベルが鳴り始める。

鳴り始めるや30秒以内に、彼女はキーを引き抜き、
玄関で靴を脱ぎ飛ばして、
廊下を走って操作パネルに駆けつけ、
暗証番号を打ち込んで警報を解除しなければならない。

そうしないとセコムの人が、車に乗って、
ブーンとやってきてしまうからだ。

だから飲み会続きの日など、
「筋肉番付」のビーチフラッグ
(合図とともに砂地を走っていって、刺さっている旗を奪い合う種目)や、
SASUKEのゴールフィニッシュみたいなのだそうだ。

セコムしていると座敷犬も飼えないらしい。

「全員出かけているモード」にセットして全員がでかけたあと、
座敷犬が家の中をちょろちょろしたら、
そのたんびにビービー鳴るからだ。

なるほどねぇ。

警報機なんかなくても平和な街であれば、
それに越したことはないんだけど。

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本気クラブ

野球通の人と所属している草野球チームの話していたら、
どうもスケールがでかいので、

「あのー、
草野球チームって、そんなにいろいろあるんですか」

と聞いてみた。

その人が住んでいるのは、中堅の地方都市だが、
少年でない、中年ばかり集まったチームでも、
市内に30~40団体あるそうだ。

うへー、そんなに!?

そんなにらしい。

「いやいや、僕らの市は小さいからその程度ですけど、
政令指定都市になれば、その、30~40のチームが、
A、B、C、Dとかあるんですよ」

都合、120~160チーム!

「んで、Jリーグみたいに上のクラスの底辺と、
下のクラスの上澄みで入れ替え」

「×曜会」みたいのもあって、
平日や昼間が休みの、
お店とかしている人ばっかりのチームで、
平日の昼間、マジ練習。
草野球やるために、脱サラした人もいるらしい。

そして、しょうもないエラーや、
チャンスの打席で凡退などすると、
昔ヤンキーしていたその人も覚えがないくらい、
監督にこっぴどく叱られるそうだ。

「もう、泣きそうになりますよ。自尊心ボロボロ。
そのくらい、監督にマジで怒鳴られるんですわ」

「か、監督?監督って何者ですか?普段何してる人?」

「スナック経営」

はー。

それって、「草野球」なんていう、
のどかな雰囲気じゃないっすね。

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雨降り

会社を出たら、すごい雨だった。

駅までの通路で、屋根から流れてきた雨が、
ジャージャー音を立てながら、地面にこぼれ落ちていた。

屋根だけあって壁のないところに来ると、
風にあおられた大粒の雨が、
横から容赦なく叩き付けて、屋根があるのに通路はびしょぬれ。

ひどい雨降りの日に、車に乗っているとうれしい。
守られている感じがして、 規則正しいワイパーの音も、
なんとなく軽快に聞こえる。

車でなく電車のときは、駅からの道々、
風が強くてあんまり役に立たない傘をなんとか差して歩き、
やっと家にたどり着くとほっとする。

ばたん、とドアが閉まって、
外の騒々しい物音が急に聞こえなくなると、
ああ、もう安全なのだと思う。

そういうとき、
「あ~、野良でなくてよかったぁ。家ってありがたいよね」と思うと同時に、
野良猫はどうしてるかなぁと心配になる。

梅雨のこの時期、
すべての生き物に、
雨露しのげる場所がありますように。

Photo

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ホンモノのお嬢様

親友のカオリンさんはいわゆるお嬢様で、
洋館風の実家の自分の部屋は、
20畳もあったそうである。
小さいときから毎年、家族全員でハワイや軽井沢に行き、
一日1万円ずつお小遣いをもらっていたそうだ。

そのカオリンさんは料理がうまい。

高校くらいのときから、
家族のために料理をしていたと聞いた。

大学の講義の最中に、「肉じゃが」のレシピを書いてもらった私は、
お互い主婦になり、
彼女が作ってくれたお料理をもぐもぐ食べながら、
ホンモノのお嬢様なのだなぁと思う。

お金があるからといって、
使用人に任せて家事が何にもできず、
遊びほうけているパリス・ヒルトンみたいなのは、
「成金のお嬢様」で、
「ホンモノのお嬢様」はしつけが行き届いていて、
家事もきちんとできるのだ。

そのカオリンさんと旅行に行ったとき、ペンションで焼き魚が出た。

みんなでおしゃべりしながら食べ終わってみると、
知らないうちに、
カオリンさんのだけ、まるで猫がしゃぶったみたいに、
魚の骨のイラストみたいに、
頭としっぽ、つながった骨だけを残して、
綺麗に食べられていたのである。

魚をきれいに食べられる…、
ホンモノのお嬢様なのだなぁと思った。

同じカオリンさんは結婚してすぐ、相手方のご両親が、
「お金をあげるから家を買いなさい」といった時、
私なら「はいはい」と喜んでもらいそうなところだが、

「お義母さん、100万円貯めるのがどんなに大変か、
わかっていない人(=新郎)に、
最初からそんなこといわないでください」ときっぱり断った。

ホンモノのお嬢様は誘惑にも負けない。

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胃部レントゲン

私はおおぜいの人前で話すときも、
あんまり緊張しない。

だから、そういうとき頭がまっちろになってしまう人に、
「よくあんな場面で冷静でいられるよね」と時々恨まれる。

それはたぶん、「どんなに取り繕っても中身はにじみ出てしまうから、
いい格好しても仕方ない、
これが今の人間・ねこきち、
失敗したってご愛嬌♪」と開き直るからだと思う。

ところが今日、健康診断があって、
胃部レントゲンを受けた。

前の人がげっそりした様子で出てくると、
看護師さんがテキパキと、
つまり「ぐずぐずすんなよ」という態度で、
発泡剤(ジュワーっと泡が出る粉)と、
ほんの、なんかのキャップの蓋くらいの水を手渡し、
「一気に飲んでください、がまんしてくださいね」というのだ。

飲んでいる途中ですでにくちの中は気泡で一杯なのに、

「検査が終わるまで、絶対にげっぷをしないでください!」

という貼り紙の文字が、目に飛び込んで来た。

だいたいからして、
「絶対××してはいけません」のフレーズに弱いのに、

「ひえ~っ、ここでげっぷしてしまったらどうなるんだろう、どうしよう???」

と思うと頭がまっちろになり、
ああ、くるしいくるしい、もうダメだ、倒れそう、
うぐぐぐぐ……

気がついたら呼吸もしていなかった。

そうか、げっぷをガマンするのに、
息まで止めることはないんだ。

思い直して、ゆっくり、慎重に呼吸する。

でも、その後、バリウムを飲んでレントゲン技師さんにいわれるがまま、
ぐるぐる回されているあいだも、魂抜かれていた。

ああいうときなぜ、「これが今の人間・ねこきち、
げっぷをしたってご愛嬌♪」と開き直れないのだろう。

わからない、
あー、ややこしい。

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バーン!し~ん…。

ゆうべ、夕食を食べていたら、
雨と風がすごくなってきて、
南側の窓から、滝のように降り注ぐ雨が、
強風にあおられてカーテンみたいに白く見えていた。

風は西からびゅうびゅう来ている。

窓を開けていなかったか、食卓を立って西側の窓に走ると、
雨が真横から吹き付けて、
窓ガラスにざーざー、
ホースで水をかけているみたいなのだ。

「すごいねぇ!」

食卓に戻って夕食を再開したら、

バーン!

しーん……。

私達は真っ暗な中で顔を見合わせた。

「あーあ」

テレビは切れる、換気扇は黙る、
電気が切れた家中は「しーん」と、
人がいるのにひとけない。

夫が懐中電灯を持ち出してきて、
外に出て点検。

「うちだけだよ…」

「えー」

地域の停電ではなくて、うちだけブレーカーが落ちたのだ。

なんちゅうこっちゃ!

夫が関西電力の人みたいに、各区域の電気を入れたり、切ったり、
入れたり、切ったり、ベランダの給湯器がおかしい、
と判明したところで就寝。

雨が入ってショートしたのかも知れない。

ともかく、毎日普通に電気が点くのって、
ありがたいなぁ。

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夏至の空

予報では一日雨だったが、
思いがけず曇りから晴れ。

布団なども干せて、いい夏至の日だった。

ただ、明日からまただんだん、昼の時間が短くなると思うと、
太陽信仰のねこきちとしては、とても寂しい。

入道雲が沸き立ち、セミが鳴いて、
うだるような暑さにひーひーいうのはこれからなのに、
もう太陽は遠ざかっていくのかと思うと、
いつも、不思議に打たれる。

太陽熱を3ヶ月も溜め込んで、ぼちぼち放出していくなんて、
地面はよほど、のんびり屋なのだなぁ。

冬至と夏至で、日の出・日の入りがどのくらい違うのか調べた。

=2008/12/21(冬至)=
日の出: 7:01
日の入:16:51

=2009/06/21(夏至)=
日の出: 4:45
日の入:19:14

国立天文台/各地のこよみから)

万物は流転する。

Img_5081

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あ~、忙しい

父の日なので、義理の両親の家を訪ねた。

少し前給湯器が壊れて、新しいのに取り替えたら、
なんやかんやで3日も4日も工事の人がうろうろして、
大変だったそうだ。

工事のために、生い茂った南天の木を泣く泣く引き抜いたとか。

その前に、義母は友達に誘われてお洒落なレストランで食事したり、
十何年ぶりに同窓会に参加したり、
昔っからの友人が訪ねて来たりして、
「結構忙しいの」という。

先週、うちの実家を訪ねたときも、
母が同じようなことをいっていた。

「年寄りの生活なんて退屈だろうと思うでしょうけど、
これで結構、忙しいのよ~」

両親の忙しさは、決してお金のかかることばかりではない。

私はうれしい。

リタイアすれば、いかに出費を減らすかに苦心して、
うつむいて暮らすのかと思っていたけど、
歳を取ってもすることがいっぱいあって、
「あ~、忙しい」なんて、
なんて素晴らしいんだろ。

貧乏ヒマなしも哀しいけれど、
私達小市民にとっては、
退屈ほど苦痛なことはない。

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「天地人」6月

引き続き「天地人」を見ている。

最初ほどのカンドーはないにしても、
妻夫木・兼続は相変わらずまっすぐに人の心を動かし、
見目麗しいし、仲間同士の友情に加えて、
夫婦愛も美しい。

でも、妻夫木・兼続はあまりにトントン拍子に出世し、
いつだって殿の信頼厚く、
お姫様にも、忍びにも、文化人の娘にも、
行く先々でモテモテで、
だんだん「ふーん、それで?」という風になってきて、
今は、北村・景勝に興味があるのである。

義理とはいえ、でっかい父さんを持った重圧は、
いかばかりであったろうと思う。

不安を押し隠して部下を鼓舞し、
時に、一国を左右する決断をしなければならない立場を思うと、
考えただけでもう、禿げそうなのである。

北村一輝はそのもどかしいお殿様を好演している。

セリフがほっとんどないのに、
存在感をどーんと示すのは大変なことである。

強烈な個性の阿部ちゃん・謙信が去ったあと、
小栗旬、城田優等のイケメンパラダイスばかりが話題になるけど、
みなさん、立派な役者ぞろいだよねぇ。

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ミミズ時間

ここ数日、自然に6時前に起きるので、近所の公園を散歩している。

6時過ぎの公園にはすでに、常連さんがうろうろしていて、
芝生の中央で、太極拳している集団、
ゴミを拾いながら歩くおばさん、
ただ、なんとなく不機嫌そうに歩いているおじさんは、
ひとりずつということが多い。

ふたり連れのおばさんはたいてい、
どこの誰だかわからないくらいサンバイザーを目深にかぶって、
UV腕カバーなどして、がっちり日焼け止め対策し、
お姑さんの悪口やら、
近所の噂話しながら、すたすた競歩している。

若い人も時々いるが、たいていは年配の人らしい。

小さい公園は、早足で歩いて、だいたい一周が10分強である。
甘い香りがする植木の道を抜け、砂場を横目に芝生の周りをたどり、
遊具のそばを通って、トイレの前を過ぎると、
運がよければ鳥が浮かんでいる小さい池に出る。

今朝、池の周りに来たとき、砂の上でミミズに遭遇した。

前も後ろもおんなじに見える、ただの茶色い紐がせっせと動くので、
砂地にいる生きているミミズは、結構目立つのである。
ミミズに遭遇するのは久しぶりだったので、
大変驚いた。

池にはウシガエルがいるらしく、
朝陽が射す時刻になっても、ときどきぼーぼー鳴いている。
噴水がきらきらして気持ちよく、
暑くなりすぎる前の、本当にいい季節なのだ。

だんだん息が弾んできて2周目に突入する。
甘い香りがする植木の道を抜け、砂場を横目に芝生の周りをたどり、
遊具のそばを通って、トイレの前を過ぎ、
池の周りに来たとき、またしてもミミズに遭遇した。

私はまた、性懲りもなく驚いた。
さっき会ったばかりなのに、もう忘れていたのだ。

ミミズは同じやつに違いなかった。
確かに数メートルは移動している。

10分かかって数メートルかぁ……。

感慨深い。

でも、いい、いい、それでいいよね、
ミミズにはミミズ時間があるんだからさ。

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舌つづみ

富山に住む小国の王子様・ドッチ君から鱒(ます)の寿司が届いた。

前日にメールをくれて、

「明日の午前に泳ぎ着くから」

鱒の寿しは果たして、北陸道から名神高速道を泳ぎ渡り(たぶん)、
お昼頃に我が家に到着した。

鱒の寿しというのは、直径20センチくらいの円形の樽に、
でっかい笹の葉を敷き詰めてつぶつぶの銀シャリを乗せ、
その上にスライスした鱒を敷いて、
上からぎゅうぎゅう押したものである。

「すごい、ビニールとか、ぜんぜん使ってない」

夫が、包みを開けながら、その「昔ながらっぽさ」に驚いている。
実際、丸い木枠も笹の葉も、上下から挟んだ棒切れも天然で、
今っぽい材料といったら、極太の輪ゴムくらいなのである。

蓋を取り、笹の葉をそーっとめくると、
上品なやさしいオレンジ色の鱒が現れた。

付属のナイフで喧嘩が出ないよう、
慎重に真ん中を通って切れ目を入れると、

「おわっ!下にも鱒が敷いてあるっ」

いわば、鱒の富山産こしひかりサンドなのである。

「うまいなぁ」

鱒だけでなく、おコメもおいしい。
銀シャリのぎゅうぎゅう具合から、
こうして押す前は、
倍くらいのご飯を盛ったんじゃないかと思われる。

おしょうゆをつけようとしたら夫が、

「そのままの方がおいしいって」

阻止された。

ふたりで食べちゃうのはもったいないくらいだけど、
あっという間に平らげた。

「うまかったぁ。
久しぶりに、ホンモノを食ったって感じ」

夫も大満足。

ありがとう、ドッチ君。

久しぶりにホンモノを食べたい方は是非、ご賞味あれ。

04m_2 大多屋 鱒の寿し店
 

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ウズベキスタン戦を見ながら

日本×ウズベキスタン戦を見ながら、
いろんなことを考えた。

今回みたいに、押され押されて、
同点にされそうな、負けちゃいそうな状況で、
サッカーなら、自分のポジションがどこであれディフェンスに回るとかして、
死力を尽くすこともできるが、
野球では、ちょうどその場面で、
自分がピッチャー、
自分がバッターでなければ、なんともしようがない。
もし負けたら、
「自分なら押さえられた(打てた)かも知れないのに」なんて、
イライラが残りそうだなぁ、とか。

実際、「野球脳」と「サッカー脳」は違っていて、
チームプレーといいながら野球は結局、
投げる・打つ・受ける・走るのどれをとっても個人技だが、
サッカーは、相手あっての自分の動き、
また、一瞬たりとも同じ場面はない、
だから、協調性を学ばせる教育のうえでは、
サッカーを選択する方が有効なのだという。

他にもいろいろ考えた。

頭のてっぺんから全身汗みずくになって消耗しつくしながらも、
ボールに食らいつく選手達を見ていたら、
余力を残して引退し、
自分探しの旅に出た挙句、多くの女性と浮名を流しつつ、
実業家気取っている人には、
「サッカーが好きだ」なんていわないで欲しいな、とか。(笑)

とにかく、
ワールドカップ出場おめでとうございます。
南アに行くほどじゃないけど、
応援すると思います。

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(たぶん)アフリカの空

最近、なんだか仕事が忙しく、
一日も、
一週間も、あっという間。
そうこうしているうちに1年も、半分の6月まで来てしまった。

「何事かを成し遂げるには、人生は短すぎる。
何もせずに過ごすには、人生は長すぎる」

といったのは確か、
ほら、あの、
「牛乳瓶の底」みたいなぐるぐるメガネをかけた中島敦だ。

でも、
何事も成し遂げないのに、
あっという間って、どうなんだろ(^_^;)

昔、クラブ仲間のシマ×君と、
「太く短く生きたい」か、
「細く長く生きたい」か、という話をしていた時、
彼、「細く短く」と冗談いったけど、
その彼は世界を股にかけて、太く生きてるし。

それにしても、今夜の夕暮れは見事だった。

頭上に、今にも落ちてきそうな厚い雲が、
ずーっと向こうから、目の前を通って、ずーっと反対側の向こうまで、
黒々とのしかかっていて、
そうそう、映画「インディペンデンス・デイ」で、
街の上空に現れたエイリアンの母船みたいに。

でも、遥か西の方は、澄んだ水色と黄色の不思議な色合いに光り輝いているのだ。

コントラストも申し分ないし、
奥行きというのか、それはそれはダイナミックで、
ああたぶん、
アフリカ・サバンナの夕暮れって、
こんな感じなんだろうなーと。

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芸術品を鑑賞するには

東京・上野公園の東京国立博物館で開催されている「国宝 阿修羅展」が人気で、
連日1万人以上の人々が訪れているそうだ。
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六本の腕を持つ、小顔でスリムな美少年は普段、
奈良・興福寺に立っている国宝であるが、
11歳の甥が自慢げに、
「僕、興福寺で見たよ」といった。

「見ている人は、他に、ほぼ0人だった」と笑った。

博物館での展示は、普段のガラスケースから出してむき出しにして、
前後左右から鑑賞できるようになっているらしいが、
彼のふるさとである興福寺そのものが、
雄大で厳かな(おごそかな)文化遺産であるから、
そりゃあ、
1万人のうちのひとりとしてぞろぞろ見るより、
実際の法相宗大本山に赴いて、
がらーんとした国宝館で心静かに対峙するほうが、
ありがたみがあるだろうと思う。

そう考えると、私も各種展覧会に行くけれど、
「現場」で見たのとは、えらい違いなのだろうなぁ。

例えば、ムンクの「叫び」も、
ノルウェーの澄んだ空気の中で触れると、
あの血のような真っ赤な背景の理由がよくわかるのだそうだ。
ああいう風に、普通に真っ赤に見えるらしい。
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芸術品にはそれぞれ、
それを生んだ環境、文化的・歴史的背景があり、
その背景丸ごとぜんぶに触れなければ、
本当には体感できないのかも知れない。

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ちょっと悔しい

夫は衣料に頓着しない。
清潔であればよい。

その姿勢は合理的だし、なにより経済的なのでありがたいが、
綿・麻・カシミヤといった生地の種類やそれぞれの特性、
ブランドも何も知らないから、
3万円のワンピースを「3000円くらい?」と1ケタ違っていうので、
がっくりする。
モノによっては2ケタぐらい違うこともある。

バーゲンに行って私が、
「元値(もとね)10万円のを2万円で買った」と感激して鼻の穴をふくらませていても、
元値自体を疑わしいと思っている。

先日、お気に入りブランドのパジャマを買った。

パジャマなんてユニクロで充分だけど、
意外と長持ちするので、思い切ってお高いのを買ったのだ。

すると、よもやそんなに高いと知らない夫が、
袋から出して肌触りを確かめ、
「わっ、これ、いいねぇ♪」という。
そんなこというのは珍しいのだ。

「あ、わかるぅ?」といいながら私は、なんかちょっとくやしい。

私なんか、
組み合わせを工夫し、季節感を大事にしたり、
あれこれ考えていても、時々バカな買い物をするのに、
生地の種類やそれぞれの特性、
ブランドも何も知らなくて、一ケタ違っていても、
いいものはいいってわかるんだ。

ちぇっ。

なんかちょっと悔しい(笑)

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最後の晩餐

茂木さんが雑誌の中で、
「最後の晩餐は以前から、コハダと決めています」と話していたので、
可笑しかった。

だいぶん前、ニュースステーションの中に、
「最後の晩餐」というコーナーがあって、
ホストの久米宏が毎回違うゲストを迎えて、
「最後の晩餐に、だれと、どこで、何を食べたいか」をネタに、
いろいろおしゃべりするもので、
何を選ぶかでゲストの好みやら、歴史やらが垣間見えて、
興味深かった。

犯罪者か、死ぬことに決めた人以外、

「あー、これが最後の晩餐だなぁ」

としみじみ思いながら、最後の食事をする人はまれなのだ。

でも、もし決められるなら、
私はやっぱり、
炊きたてのつやつや魚沼産コシヒカリと、しじみの赤出汁、
ぼってり大きな紀州南高梅干かなぁ……。

そこへ、鮮やかな塩鮭なんかがあったらなおいいし、
海苔とか、粒うにとか…。

要するに、和食のオンパレードだな。

あと、デザートとしては……。

「最後の晩餐」というような、
厳粛な雰囲気から程遠い。

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そんな真顔で…

煮物がぐつぐつしてきたので、

焦げないように、木ベラでかき混ぜながら、

「あーぶく立った、煮え立った

煮えたかどうだか食べてみよ

むしゃむしゃむしゃ

まだ煮えない」

と歌っていたら、テーブルで待っていた夫が驚いて、

「えっ!まだ煮えないの?」と真顔でいった。

いや、もうほぼ煮えてますよぉ~。

今のは”歌”ですので……。
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プロ野球はエンターテインメントか

エンターテインメント【entertainment】
娯楽。(気晴らしになる)演芸。(気楽に楽しめる)小説。(大辞林)

知人のA夫妻は、自宅でテレビ観戦するときも、
ハッピを着て、
メガホンを打ち鳴らすそうである。

テレビ中継のない日は夫婦で向かい合って食卓につき、
ラジオから聞こえる実況に一心に耳を傾けながら、
無言で夕飯をかきこむ。
中継の合間に聞こえるのは、
シャカシャカシャカという、お箸を使う音だけだそうだ。

観客がひとりもいなくなれば、
プロ野球は成り立たない。
そういう点で、
エンターテインメントであるのかも知れない。

でも、敬遠を命じられた上原が、
悔しさのあまりマウンドで涙をぬぐったり、
優勝を逃した斉藤和巳が、
ひざを折ったまま立ち上がれなくなり、
チームメイトに抱え上げられてベンチへ下がる様子や、
逆に、サヨナラを決めて狂喜乱舞する選手の姿を見ると、
ガチンコであるからこそ、
人の心を揺さぶるのであって、
とても「娯楽」というような、
軽い言葉では片付けられない。

だから、例え楽しいとしても、
バーベQをしながら観戦したり、
寝そべって声援を送るなんて、どうかと思っちゃう。
(そういう球場があります)

せっかく球場へ足を運んだのなら、
お肉や野菜の焼け具合など気にせず、
どっぷり試合につかりたい。

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そういうオチ

同僚が、「霊合星人(れいごうせいじん」について長々と説明してくれた。
彼女は、そして私も「霊合星人」なのだ。

「霊合星人」というのは、よくわからないけど、
六星占術で、
人々を(現代文明の暦の)生年月日によって、
それぞれ水・金・火・木・土・天王星人に分けたあと、
さらに特殊な組み合わせの場合にのみ、複合的に当たるものだそうで、
いってみれば、ただの水星人・ふつうの金星人ではなく、
「帽子をかぶった水星人」とか、
「スカーフを巻いてる金星人」とかなのだそうだ。(ちがうか)

「霊合星人」は、対極にある星の影響も受けるので、
運勢のよいときも悪いときも、
普通の人達より「さらに倍、どん!」という訳で、
好調・不調の波がものすごく激しいそうだ。

彼女は訳知り顔にいう。

「霊合星人は波乱万丈の人生を送って、
志(こころざし)半ばで死ぬらしいよ。
美空ひばりとか、松田聖子とか」

私は驚いた。

「へー!ハランバンジョウ?私、いたって平凡だけどなぁ」

すると彼女も急に思い当たったように、

「あ、そっか!ほんまやね!私もやけど」

それから同僚は頬杖をつき、もう片方の手で髪の毛をかき上げながら、

「でもさ、霊合星人って、だいたいからして、そんなハチャメチャやから、
占いもぜんぜん当たらないんだって」

……へっ!?
じゃあ今せっかく教えてくれたことも?

なるほど、そういうオチかぁ~。

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明石焼き

兵庫県には「明石焼き」というのがあって、
それは「たこ焼き」の親戚というより、
中にこま切れのタコが入っている、
一口サイズの丸い「卵焼き」なのである。

形も、くるくる回しながら焼くたこ焼きのような「球」ではなくて、
どちらかというと、閉じた二枚貝とか、
携帯用化粧用具であるコンパクトなどに似ている。

発泡スチロールのたこ焼き一パックは「ひとふね」などと数えるけど、
明石焼きの場合、お客の側に傾斜した板に、
危なっかしい感じで乗せられて運ばれてくるので、
一人前を「一枚」と呼ぶ。

席に着くと、焼きあがるのを待つ間に、
人数分の小鉢と、かつお風味が利いただし、
そして、三つ葉のみじん切りが配られる。

明石焼きを頬ばったたいていの人は、
くちを「ほ」の字にして、しばらく話せない。
熱いからである。

つまり、
中にこま切れのタコが入っている、
閉じた二枚貝風の卵焼きを、
三つ葉のみじん切りをぴっしり浮かべた熱々のおだしにつけて、
ふうふう言いながら食べるのが明石焼きなのだ。

先日、午後3時ごろお店に入ってカウンター席に座ったら、
しばらくして夫が小声で、
「見てみて!僕の隣の人」と言う。

夫の肩越しにそおっと盗み見ると、
ジーンズをはいたショートカットの女性がひとり、
ふうふういって明石焼きを頬ばりながら、
瓶ビールを手酌でグラスに注いでいた。

「いいねえ、休みの日って感じで」

車の夫はビールが飲めないのでちょっと、うらやましそうなのである。

女性が昼間っからひとりでビールを飲みながら、
明石焼きを食べてるのって、迫力あるけどなぁ。

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ちょっと違う・だいぶん違う

休みモードに入った夫が、
「久しぶりにの~んびり、アニメでも見たいな~」
という。

「天と千尋とか」

私はすかさず訂正する。

「『テン』じゃないよ、『セン』だよ。
『千(セン)』は千尋っていう名前から来たんだからね、
『天と千尋の神隠し』じゃ、意味、通じないでしょ」

あんまりいうと、しょぼくれるのでいわないけど、
でも、夫はそういう言い間違いを、ちょいちょいやる。

昔、小学生くらいのとき、家族全員ででかけたら、
父が駅前で急に車を停めて、
「カティサークが食べたい、買ってきて」といった。
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カティサークはボトルに帆船が描かれたシングルモルトウイスキーの銘柄であり、
”食べる”ものでもないし、
急に車が停まったのも酒屋の前ではない。

母も姉も私も途方に暮れていたら、
誰ともなく、
それが「サーティワン(アイスクリーム)」のことだと気づいた。

「サー」のところしか、一緒じゃないのだ。

父のは夫のよりハイレベルである。

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やりすぎ

街のあちこちの雑貨屋を歩いた。

折りしも、母の日が近くて、
SonyPlaza、Francfranc、デパート、
メジャーな店も、そうでないところも、
どこへ行っても薄手の色とりどりの袋がぶら下げられ、
「Thanks, Mama」と書かれている。

母の日にエコバッグねぇ…
なるほど役に立つだろうけど、
いまいち、ありがたみが薄いかなぁ。

だってさ、私でもすでにいっぱい持っているんだよ。

人からもらったものが3つ、
雑誌のおまけについてきたのが2つ、
買い物したとき商品を入れられたものが2つ、
自分で買ったのがひとつ。

先日、エコバッグの話をしていたとき、同僚が、
「もう、いーっぱい、いろんなのがある」
と、くちを「い」の字にしていった。

一同が、「あ~、あるある」とうなづいた。

私が持っているのと同じくらい、
それぞれ持っているとしたら、すごい数なのだ。

同僚は、ちょっと間を置いてから続けた。

「なんかもう、エコバッグ屋できるくらい」

そうだね、そうだよ、
なんだって、いちいち、やりすぎるんだろうね。

ま、綺麗な袋がいっぱいあるのは、入れ物好きとしては歓迎だけどぉ。

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鯉のぼり

だらだら遊びほうけているうちに、
5月も5日なってしまった。

休みボケから回復するのには長いことかかるのに、
休みボケるのはあっという間なのだ。

道端の、どうということもない河に渡したロープに、
いく匹もの鯉のぼりがくくりつけられて、
赤いのやら青いの、金、白黒等々、
大きいのやら小さいの、
それは鮮やかで気持ちよさそうだけど、
一部、風が強過ぎたのか、
ロープにぐるぐる巻きついているのがある。

風が吹くたびに、苦しそうに目を白黒させて、(もともと白黒)
尻尾の先だけが無理やりはためている。

ああ~、ほどきたいなぁ、ほどきたい。
いらいらするな~

私は車の中からじりじりしている。

でも、イライラの仕方もなんとなく休みボケ。

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参りました

宇宙について熱く語っていたら、知人が、

「僕、ラッキーですわ」とうれしそうにいう。

「宇宙とか、そういう本、読んでみたいと思うけど、
自分ではとても最後まで読み切れんし、、
かいつまんで教えてもらえて、なんかびっくりしましたわ。
そういう世界があるんやなぁって。
へー、なんか、すごいですね」

「すごいでしょう!
物質が誕生すると同時に、同じ数だけの反物質ができるから、
本当なら、打消し合って、”無”になってしまうんですよ……」

するとその人はちょっと考え込んで、

「でもね、僕、”無”ってわからないんです」

「えっ!」と私。

「”無”って、だからほら、”何もない”ってことですよ」

知人はますます首をかしげて、

「いや、それがイメージできないんですよ。
何もない状態ってどういうのですか?
何もないなんて……」

「あー…」

参りました。

確かに、深いです、
簡単に説明できることじゃありません(笑)

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山のあいさつ

父と、実家近所の山登り。

木々が生い茂ってひんやりした山道の脇に、
鮮やかな紫や白いツツジが咲き乱れる中で、
すれ違う人々があいさつを交わす。

「こんにちはー」
「こんにちはー」

みんな、ちょっと息の上がった弾む声。
ユニフォームを着た中高生もいれば、
中年女性の二人連れ、
イヤホンでラジオを聴きながら、
のんびりマイペースのおじいさん。

もちろん、誰一人知らない人なんだけど、
すれ違ったら挨拶する、
それが山のお約束なのだ。

時々、うぐいすが「ケキョケキョケキョ」と鳴くのを、
父が口笛でまねると、ぴたりと黙った。

茶屋で飼われている柴犬は昼寝、
輪投げのある公園で子猫が見えたので駆け寄ると、
親野良猫がどっしり座ったまま、「フーッ」と怒った。
「タバコのポイ捨て禁止」とかかれた看板の上を、
黒い毛虫が忙しそうに先を急ぐ。

路傍にお地蔵さんあり、山頂のあちこちにお稲荷さんが建ち、
「××神社」「○○神社」
それぞれの祠(ほこら)の脇に、赤い幟(のぼり)がはためいている。

「神様、いっぱいいるね~」というと父が、
「万(よろず)いるからなぁ。イスラムの人には理解できんやろ」

私も不思議に思う。

とてもいい天気だった。

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女3人

久しぶりに、ハマコさんとシバコさんにお会いして、
ハマコさんちのチビちゃんを交えて、
いっぱいおしゃべりした。

「お昼頃お邪魔して、夕方6時頃においとました」といったら、
夫が絶句した。

ふむ。

確かに人数の3で割っても、ひとり2時間、
ぶっ通しでしゃべってたことになる。

「女3人」と書いて、姦しい(かしましい)と読む。

だって仕方ないじゃん、話は尽きないんだものさ。

ハマコさん、長居しちゃってごめんね(笑)

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メーデー

実家にいるころ、5月1日のメーデーはよく曇り空だった。

もう寒くはないが、どよんと曇った灰色の空に、
鳩の大群が、ぐるぐるぐるぐる円を描いていた。

近所の神社では、「商工祭」なるものが開かれていて、
ヘリウムの入った、
ちゃんと飛んでいく色とりどりの風船が配られ、
時折、風船が割れて「パンッ!」と大きな音を立てると、
弧を描いていた鳩たちが、あわてふためいて散り散りになり、
しばらくすると、また集合して、ぐるぐる回り始める。

私はその様子を、自室の窓から、
飽きもしないでいつまでも見ていた。

ヒマだったとしか思えない。

でも、ヒマでなくても、つい、見入ってしまうものもある。

きらきら光っている海
回っている洗濯機
炎(キャンプファイア)
メーデーに、神社の上空をぐるぐるぐるぐる旋回する鳩の群れ

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各国ホームステイお食事事情

イギリスでホームステイしていた人に、
「一般的に、イギリスの食事はイマイチだというけど、本当か?」と訊いたら、
なんともいえない、すっぱそうな顔をした。

本当らしい。

「どういうところがイマイチなの?」

「テクスチャー」

「あ?」

”食感”みたいな感じか。

例えばどんな野菜も、もともとなんだったわからないくらい、
グタグタになるまで調理してあるらしい。

その当時、同じ家にお世話になっていたイタリア人留学生がそれらの食事に抵抗して、
「私がやる」といって作ったパスタはいい感じのアルデンテだったので、
「やっとまともな料理にありつけた」と彼女は喜んだのに、
当の受け入れ先の家族は、「硬い」といって、
なんともいえない、すっぱそうな顔をしたそうだ。

背景には、イギリス古来の、
「食事のことでぐたぐたいうな」
「贅沢いうんじゃない」みたいな、キリスト教的教えがあるそうだ。

なるほど。

一方、カナダにホームステイしていた人は、
ある晩、ホストファミリーに、
「夕食は、ポテトとチキンとどっちがいいか」と聞かれたので、
”え!?ど、どっちも欲しいけど…”と思いつつ、
一応遠慮して「ポテト」と答えたところ、
本当に、ふかしたじゃがいもだけが、ごろんと出てきたという。

アメリカの家庭では、三度の食事が、
「ハンバーガー」「サンドウィッチ」「ホットドッグ」の繰り返しだった、
という話も聞く。

政府から出る補助金目当てで留学生を受け入れるホストファミリーも多いらしいから、
まぁ、人んちにお世話になっている以上、仕方ないのかも知れないけど、
「違いを楽しむ」くらいの余裕がないと、
食事は毎日のことだから、大変だなぁ。

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野球談義

「今年のセ・リーグはちょっともう、
早くもつまんなくなって来ましたねぇ」

と私がいうと、野球通の人が、

「えっそんな!まさかまだでしょう」

「だって、なんといっても横浜がぶっちぎりに弱いし、
巨人は案の定強いし……。
ま、私は楽天も応援してるんで」

「あ、楽天ねぇ、誰か特にいますか」

「そりゃ、だんぜんマー君です」

「あー、マー君!マー君、人気ありますねぇ、どこがいいんですか」

「えっ、いいじゃないですか、マー君」とびっくりして私。

「どこがってホラ、あの一生懸命さというか、
『野球ができるならどこでも行きますよ』的な……」

「あぁなるほど(笑)。北海道でも、東北でもね」

「いいですよぅ、なんていうか、野球バカっぽいところも」

「まぁ、”昔の素直な男の子”って感じはしますわね」

それから、野球通の人はしみじみ付け加えた。

「マー君、人気ありますねぇ、特に年配の女性にね」

あ、”年配”のね…。
あは、あはは……。(^_^;)

野球通の当人は、自分も草野球チームに所属しているが、
どこの誰のファンとかはないそうだ。

どこの誰がやっていても、
投げて、打って、走って……、
投げて、打って、走って……、
野球は野球なのでおもしろいそうだ。

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うどんすきの残酷

少し前、「うどんすき」をしようと思って、
ちょっとずついろんな具材を買った。

鶏肉、豚の薄切り、しいたけ、ねぎ、うすあげ、豆腐、そしてうどん…

閉店間際の特売で、活きのいい車海老が半額になっていた。
狭い白色トレイに折り重なってパックされた数匹の足が、
ゆるゆるまだ動いている。

ややっ!まだ生きてるぞ!

帰宅して流し台に買って来たものを広げ、
野菜を切りながら、私は落ち着かないのである。

夫が帰って来るまでに、海老が死んでしまわないか気が気でない。

だって、せっかくだからいいたいのだ。
「見て見て!ほらほら!
まだ生きてるんだよ、すごいでしょ」

それは、「さっきまで生きてたんだよ…」と大違い。

だから死なないでよ、
まだだよ、死ぬな、死ぬな……。

そのとき、ラップされ、値札の上からさらに「半額」のシールまで貼られた海老が、
尻尾を打ち付けて「ぱしっ」と音を立てた。
白色トレイのせまーい空間で、なんとか逃れようと努力しているのだ、
もといた海はもう、ずっと遠くになってしまったというのに。

私はふっと哀しくなった。

豚肉は薄切りに、鶏肉はブツ切りにされて、
しーんと静まり返っている。

その横で、夫が帰ってきて1時間も経てば調理してしまう海老に、
今は生きていて欲しい。

この残酷をどうしたものか……。

知人に話したらケラケラ笑って、
「美々卯でもあるよねぇ」とあっさり返された。
「活きた車海老をぐらぐら煮立ったダシ汁に突っ込むでしょ、
逃げないように、箸で押さえてつけて」

そういうもんかぁ。

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アドバルーン

近所に、大型家電量販店ができて、
年甲斐もなくうれしい。

アドバルーンなんかも立ち上がっていて、
桜に誘われた人も、そうでない人も、
わんさと繰り出して、
なかなか盛り上がっているのである。

テレビ、パソコン、洗濯機、
食器洗い機、冷蔵庫、電子レンジ、
マッサージ器、カーナビ、携帯音楽プレーヤー

夫が喉を鳴らしそうな電化製品のほかに、
おもちゃや書籍もあって、
お菓子や日用品まで安い。

こりゃ、近所のスーパーは脅威だなぁ。

先日、フランス人の暮らしに関する本を読んだら、
よその国でも、
安いものから高いものまで、売ってはいるが、
値段と品質が残酷なほどマッチしていて、
安いタオルは色落ちするほど質が悪く、
いいものはべらぼうに高い、
「安いけどいい」という商品はありえないそうだ。

時折、海外からの旅行客が日本の電器街に大挙して押しかけて、
両手にいっぱい、頼まれた分まで買っていくのは、
「安くてよいから」という、
もっともな理由があるかららしい。

そういえば昔、得意先がインドネシアから来日したとき、
「これからどうしますか、観光でもしますか」というと、
「百均に行きたい」と思いがけないことをいうので、
慌てて工場の近くに住むぱんきちに電話して、
お店のある場所を教えてもらい、
タクシーを飛ばしたことがあったっけ。

3人のお客は百円均一の買い物カゴに、
ボールペンだのシャーペンだの文房具を次々入れて、
うれしそうだった。

現地の筆記具は粗悪品で、ほとんどがすぐ書けなくなるそうだ。

ずっと中に住んでいる者にはわからない、
その国の暮らしやすさがあるんだなぁ。
住まいがウサギ小屋であることは、ともかくとして。

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かっぱ巻き

夫の会社で昔、飲み会の席で、
世間知らずの若い女の子が、

「かっぱ巻きってなんですか?」

と聞いたそうだ。

場に居合わせた男性陣が面白がって、笑いをかみ殺し、

「えっ、かっぱ巻き知らない?」と応じた。

「カッパやん、ほら、沼地とかに住んでる、
緑色の……」

するとその子が仰天して、

「えっ!
あのカッパって、食べられるんですか!?」

……。

こういう反応をされると、周りは頭が混乱する。

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お昼休みに、
鳩がどんなにずうずうしいか、という話になった。

元同僚のイチコさんは昔、一人暮らしをしていたとき、
鳩との長い戦いのすえ、
「東向きのベランダの、特にエアコン室外機付近が狙われやすい」
ということを突き止めた。

突き止めるまでに人に言えない苦労があったそうだ。

例えば、彼女がある日、
東側のベランダに洗濯物を干して出かけ、
戻ってきたら、
下着のレースの穴に、木の枝を差し込まれていた。

揺れる洗濯物のレースの穴に、
木の枝を差し込む器用さは認めるとして、
洗濯物は台無しだし、ベランダは糞だらけ、
そこに巣を作ることに決めた鳩というのは、
ロバみたいに強情なので、
ゴムバンド鉄砲くらいでは埒(らち)が明かないのだ。

また、現同僚のモコモさんは糞害にキレて、
目玉おやじみたいな吊るしものの代わりに、
きらきら光るCDをぶら下げてみたが、
なんの役にも立たなかったらしく、
CDそのものに糞が垂れてあった。

以来、奴らが止まりそうな塀という塀、
手すりという手すりに、
鉄条網みたいなのを張り巡らし、
こちらも長い戦いの末、打ち勝ったそうだ。

個人的には鳩には悪い印象はないんだけどなぁ。

他の鳥より、ちょっとうすら馬鹿っぽい感じはするけど、
なんといっても平和の象徴だし、
「くるっくぅ」という泣き声も耳障りでなく、
むしろ、幼少時を共に過ごした同志という気すらする。

でもそれは、下着のレースに木の枝を差し込まれたり、
ベランダを糞だらけにされたことがないからなんだなぁ。

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鳴門の渦潮

春休みで甥達が帰省したので、
淡路島を突っ切って、鳴門の渦潮を見に行った。

渦潮というのは一日中ぐるぐる巻いているのではなくて、
一日二回、潮目が変わる朝と夜にしか見られないのである。
だからぎゃあぎゃあ早朝から身支度して、
車に飛び乗って淡路島南端を目指す。

渦潮観光船は四国の向かいの福良港から約一時間のコース。
春とはいいつつ、
船の上はまだまだ寒い。

出航して船がスピードをあげるや、
何十羽のカモメが必死の形相で羽ばたいてついてきて、
甲板から投げる餌(パンの耳)を、
なんと空中キャッチするのである。

鳴門大橋のたもとを目指すこと20分、
「右側によく見えますように…」とアナウンスされて、
船内にいた乗客がどっと甲板に繰り出すと、
なんとなく、海面の様子が変わってくる。

でも、渦というにはほど遠い。
「こ、これ…?」
母と顔を見合わせる。しょぼいのである。
見たことのある姉が、
「もっとすごかった、洗濯機みたいだった」と主張する。

「今度は左側に見えますように…」
といわれるころ、
確かに普通じゃなくなってきた。
岩場にぶち当たる河の急流みたいに、海面に高低差ができて、
白く泡立ち、かまぼこほどじゃないにしても、
確かに渦巻いている。
「おおーっ!」
「あっ、これこれ!見てみて!」
甲板は写真を撮る人で大騒ぎ。

あとで、大橋の上から見下ろすと、
瀬戸内(うち)である播磨灘から紀伊水道に向かって、
海水が猛スピードでざーざー流れているのがわかった。

ううーむ。
地球は確かに片時も休まずに呼吸しているらしい。

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「ムーミン展」

Moomin

ムーミンシリーズを「童話」と呼ぶことに、
私は断固反対する。
ムーミンの話は断じて子供向けではない。

特に、「ムーミン谷の仲間たち」には、
生きていくうえで肝心なことが、
随所に盛り込んである。(と思う)

例えばスナフキンに名前をつけてもらった一匹の虫。
小さなその虫は目を輝かせて、
「ぼく、名前がなかったこれまでの分も、
急いで生きなくちゃいけないんです」
という。

「名前がある」というそれだけで、
俄然、「自分」というものの特別性を自覚し、
パーソナリティが際立ってくる虫っころ。

「この世の終わりにおびえるフィリフヨンカ」では、
途中、主人公のフィリフヨンカのおどおどした態度に、
あーもう、イライラさせられるけれども、
最後は胸がスカッとする。
昨日までのうじうじした自分にオサラバしたい人にもってこいなのだ。

「静かなのが好きなヘムレンさん」もいい。

他人と関わるのが苦手で、
偏屈者のヘムレンさんを見守る親戚たち。
天変地異で家財道具の一切を失っても、
それを「すばらしい冗談」ととらえて、
私も、挿絵の彼らみたいに笑い転げたい。

「ムーミン展」に行った。

期待していた以上の多数のイラストが、
ずらーっと展示されていて大満足だった。
大人も子供もおばあさんも、
彼女の小さな作品に鼻をくっつけるように見入っていた。
はがき半分ほどの小さなインク画の中に無限の宇宙が広がっている。

トーベ・ヤンソンは奥が深いなぁと、つくづく思う。

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開幕!

私はおっさん並みにプロ野球に詳しい。

パ・リーグの控え選手はちょっと心もとないが、
セ・リーグの選手ならたいてい、
打率はもちろん、足が速いか、守備がうまいか、
それまでの球団遍歴、
ピッチャーならどこのだれと相性がいいか、すらすらいう。

贔屓の球団などは、選手全員が親戚みたい。

どんな話題にもついてくるし、
ヘタしたら自分以上に熱いので、ある男性社員が耳を疑って、
「ねこきちさん、
もしかしてプロ野球ニュースのハシゴするの?」と聞いた。

「しますよ、します。だいたい、ニュースウオッチ9に始まって、
2チャン、6チャン、4チャン、8チャンと移動します」

するとその人は顔をしわくちゃにして、
目をつぶって、机を叩いてウケるのだ。

「いいわそれ!そうやんね!

うちの嫁さんには『アホか』いわれる。
いろんな局のを何回見たって、結果は一緒やって」

「え~、違いますよねぇ」と私。

「違う違う、局によって編集が違うし、
もし一緒でも、何回でも見たい」

ただし、それは勝った日のはなし。

負けた日は、
夫が帰るコールしてきたとき、
「今日、プロ野球ニュース、見ないほうがいいよ」が合言葉。

もっとも、当の夫はいつも教えてあげるまでもなく、
結果は先刻承知なのだが。

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(去年の)ルーブル美術館展

今年もまたルーブル美術館展が、今度は東京・大阪に来るそうだ。

去年の今頃、神戸の展覧会に行ったら、
順路の最初の方に「テリーヌ入れ」というのがあった。

「テリーヌ入れ」は、テリーヌ専用の入れ物で、
銀ぴかの蓋付きのお盆みたいなのに、
銀製の葡萄やら花、蔓が巻きついていて、
きらきら照明を反射していた。

同じ銀食器なら、「塩入れ」というのもあった。
二枚貝の中に塩を入れるようになっていて、
貝の蓋が開いたり閉まったりする様子を、
親指ほどのサイズの首をかしげた天使が見守っている。

金、ダイヤモンド、エマイユ(七宝)などを用いた「かぎタバコ入れ」はどれも、
手のひらに乗るどころか、二本指でつまめる大きさである。

そこに、虫眼鏡が要るほどの細密画がほどこされ、
高価な宝石が、つぶつぶと埋め込まれていた。
細密画は当時の離宮その他、
主要な建物の「完全な模写」なのだという。

「マリー=アントワネットの旅行用携行品入れ」
「枝付き燭台のあるいは蝋受けのあるポプリ入れ一対」
「ディアナ像の飾り枠つき掛け時計」
「ポンパドゥール夫人のコーヒー挽き」
「王妃マリー・レクジンスカの肖像入りボンボン入れ」

ああ、あほらしい。
イライラするほど細かいこの過剰装飾が、
いったい何の役に立つっていうのか。
高価な宝石類、手の込んだ装飾、
腹立たしいほどムダである。

しかし、
高度な文明を持っていたマヤ人達が、血道を上げて取り組んだ暦が、
その日まででふっつり終わっていることが示すように、
ホピ族の神話の通り現在の文明が2012年12月23日に幕を閉じるとしたら、
「地は裂け、天が落ちる」合間に、
どこかの泥の海をどんぶらこっこと流されて行きながら、
私が惜しいと思うのはやはり、
「ダイヤモンドを象嵌した嗅ぎ煙草入れ」であり、
「オルレアン公爵夫人の肖像入りボンボン入れ」であろうと思う。

ルーブル美術館の所蔵物はどれも、
この文明全体の遺産なのだ。

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衣類の大処分

私は去年の途中に、余分な衣類を根こそぎ始末して、余分なものは買わない人に変身した。

雑誌『REAL SIMPLE』が提唱する片付けの極意は、

「今、必要か?」
「1年以内に使うか?」
「すごく好きか?」

以上のどれにも当てはまらないものは、
スペースのムダだから捨てる。
例え、もう一生着そうにない(着られそうにない)ものでも、
「すごく好き」に当てはまるなら、ムリして捨てなくていい。

本気でやりたい人は、一度、持っている衣類を全部、
クローゼットやタンスから出す。
そして、それらの中からもう一度「買う」のだそうだ。
(もちろんお金は払いません)

もう一度買いたいものを選ぶと、
おのずと好きな順・必要な順に手に取るので、
その順に奥から収納していき、
スペースがいっぱいになったところで、
ゲームオーバーなのである。

衣類の全容が明らかになるし、とても頭がすっきりする。

知人男性に話したら、「いいね~、それ」と乗り気。

「僕もやろうかなー。昔のスカジャンとかあるけど、もう着ないしなー」
「スカジャンってなんですか」
「えっ……スカジャン。龍の刺繍とかしてあるやつ」

どうやら元ヤンらしい。

「そういうのは普通じゃないから、
捨てちゃう前にネットオークションに出すと、
高値で買い手がつくかも知れないですよ」

「そうかな。じゃ、犬柄のシャツはどう?」

「えっ、犬?犬柄って、小さい犬のプリントですか?」

「いや、でかい犬。一面、超・ウルトラ・犬」

あ~そう。どれも捨てるにゃもったいないね……。

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ごちゃごちゃいわずに

今週月曜、連休が明けて会社に行ったら、
川沿いの木が満開だった。
なんという木か知らない。

なんという木か知らないが、ほわほわと白い花が、
ホイップクリームぶちまけたみたいに、
一面、おみくじを結びつけたみたいに、
ずーっと向こうまで続いていた。

週末まで何もなかったのに、何じゃこりゃぁ!?

私はその生命力に圧倒される。

本当は時々、木を気の毒に思っていたのだ。
立ち歩くこともできないし、
びゅうびゅう冬の風を受けても立ちん坊、
ただ植えられた場所で時が過ぎるのを待つだけ。

でも、違ったのだ。
そうじゃない。

木々は私なんかが花をめでようが、
移動できないことを気の毒に思おうが、
ぜんぜん気にも留めない。

ごちゃごちゃいわずにただ、
冬に力を蓄え、
春が来ればぱっと花を咲かせる。

そのいさぎよさとたくましさに、圧倒される。

何かに圧倒されたとき、心が動く。
真・善・美に触れるってそういうこと。

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越後みやげ

姉達が新潟に行っているらしく、
スキー場からメールが届いた。

「”愛”をかたどったキーホルダー売ってるけど、いる?」

いらないよ!

使えないじゃん、そんなの!!

その、直江兼続が兜(かぶと)に打ち付けた「愛」の字は、
愛とか恋とかの愛ではなくて、
「愛染明王」の意味である、…とは甥からの受け売り。

Book01

戦国武将はつくづく、毎日が命のやりとりだったのだなぁと思う。

領土や跡目争いで、いつ合戦になるかわからないし、
なったらもう二度と生きて戻れないかも知れない。
平時でも、お殿様の逆鱗に触れたら、
切腹ならまだしも、即、打ち首になるかも知れないのだ。

メールの続き。

「結局、お土産は、越後・地ビールセットと、
新潟限定・『天地人ばかうけ』にしたからね~」

こりゃどうも。ばかうけ、おいしいよね♪

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三寒四温

週末、スーパーに買い物に行ったら、
なま暖かい風がびゅうびゅう吹いていた。

買ったバナナや卵、冷凍食品なんかが、
袋ごと巻き上げられて持っていかれそうになる。

でも本式の春の暖かさだ。

「このくらい暖かかったら、
ベランダに椅子を出して昼寝できそうだね」

といったら夫が、

「でも、今日は風が強いから…」

とちょっと心配そうなのである。

そうだそうだ。

モップやチリトリといった飛来物があることを踏まえて、
「そっか、危険だよね」といおうとしたら、
夫の続きが、

「いつの間にか、飛ばされてるかも知れないよね」

えっ、自分が!?

それ、爆睡しすぎ。

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よかった

「あとになって気づく」ということがある。

今月末で契約終了となる同僚の、4月からの仕事が本決まりになり、
私はもう、ジャンプしたいくらい嬉しい。

「時代の流れだから仕方ないんだ」と、
自分に言い聞かせるようにしていたが、
状況が好転してジャンプしたいくらい嬉しいことから、
実はものすごく心配だったのだなぁと、
うつむいていた自分に、あとになって気づく。

よし!

他のみんなも、彼女に続けるような気がしてきた。

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勝ったぞおおおお

第2ラウンド、2回目のキューバ戦。
負けたら敗退の大一番。

試合地はアメリカ・サンディエゴ、
現地は夜だけど、
日本では平日の昼の日なかなのだ。

社員食堂で見たテレビ画面では、
ペトコパークには霧がたちこめていた。

WEBで、日刊スポーツ「スコア速報」というサイトを見つけ、
仕事中にこっそりアクセスして、何度となくクリック。

お!2点入ってる!!

「先制したよ!」と夫にメールを打つ。
姉からちょくちょく、実況メールが入ってくる。

前日の、負けた韓国戦、
「仕事が手に付かない」といったら前の席の人が、
「で、どこの国とやってんの?」

まー、興味ない人はそんなもんか。

しかし、すごいな、ワールドベースボールクラシック。
これ、ペナントレース前にもう、
見ているだけでクタクタだよ。
勝っても負けても、燃え尽き症候群になりそう。

結局、この日は岩隈(楽天)・杉内(ソフトバンク)が好投して快勝。
決勝ラウンドに無事進んだ。

姉にメール。

「やったー!ばんざーい!続きがあってよかった」

……仕事しろよ!

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ケーキひとつで

工場の人から社内メール便でケーキが届いた。
お菓子教室に通っているらしく、手作りだそうだ。

真ん中に穴の開いた山型のスポンジに、
ていねいにナッツを乗っけたの。
リキュール漬けのフルーツがところどころに見え隠れし、
全体を洋酒にどっぷり漬けたの。

作るものを決め、
材料を用意して決まり通り量り、
混ぜて型に流してオーブンに入れ、
焼き色を見ながら待ち、
焼きあがれば冷まして、
ラップで包んで箱に入れ、リボンをかける。

かかった時間と手間を思うと、
例えお菓子作りがその人の趣味だとしても、
「ありがとう♪」ではとても済まなくて、
正座していただかなくてはいけない。

去年、夫が台湾に海外出張中、
現地で誕生日を迎えた。
仕事先から疲れて戻るとホテルの部屋に、
見慣れないカードがおいてある。

「××さまへ
当ホテレでは特別あなたのために
お誕生日のケーキを御用意しておりました。
屋の中の冷蔵庫に置いてあります。

お誕生日をおめでとう
ございます。

××ホテレの全体員工賀」

ちょっと間違っているが、心温まるメッセージである。

翌朝、関係会社に持っていくと、
現場事務所みたいに使ってた会議室に、
立ち寄るみんながみんな、
ちょっとずつ、喜んで食べたという。

ケーキをほおばるとき、私達は、
シアワセも一緒にむしゃむしゃ食べる。

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せっけん

ぼやーっとテレビなど見ていると浴室の夫から、
「おーい」と呼ばれる。
「はいはい?なになに?」
「ごめんだけど、せっけん取ってくれる?」

私はボディソープだからせっけんを使わない。

その記憶も薄れない後日、別の日に、
「ごめーん、せっけーん(汗)」

だから、
「あのさ、ケチでいうんじゃないんだけど、
せっけん、
ムダに使い過ぎなんじゃない?」といってみた。

夫は悪びれもせず、「そお?」と眉を上げる。

「ぼくはただ、羊のイラストみたいに、
泡だらけになりたいだけなんだけど……」

……。

夫は、昨年の今頃、
薄型テレビを46型にするか、42型でガマンするか、
何週間も迷った挙句、財布を出す段になって、
買うこと自体を辞めた。

理由は「宇宙の色が気に入らないから」

もう少し待てば、映像技術が進歩して、
宇宙が「もっと宇宙らしく」映るに違いないというのだ。

私は宇宙の色を肉眼で見たことがないので、
なんともいえなかったが、
でもまあ、誰にでもこだわりはある。

いいよいいよ、わかったよ。
せっけんくらい好きなだけ使って、
羊のイラストみたいに泡だらけになりなよ。

Photo

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551の豚まん

先日、遅くなった帰りに、何年ぶりかで551の豚まんを買った。

網棚に乗せて座って本を読んでいたら、
あとから乗ってきたヨッパライのおじさんふたりが、
前に立って、

「さっきねぇ、嫁はんに電話しましてん。
『豚まんいるかぁ?』いうて」

「奥さんなんて?」

「『買わんでええ』いいましたわ。
『あんた、酔っぱろうてるから、どうせ持って帰らんと、
どこかで、うしのうて(失って)きますやろ』、いうて」

「奥さん、ようわかってはる。ぬはは…」

「豚まんいうたら、こないだね…」

ずうーっと豚まんの話が続くのだ。

私はうつむいてロシア経済の本を読みながら、気が気でない。

酔っぱらいだけに、

「あれ、こんなところに豚まんが!」

といって、私のを持ち去られるんじゃないか。

「買ったこと、忘れてましたわ」

となどといって……。

ま、別にいいんだけど。

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わかっちゃいない

工場のうら若い女子とメールで会話。

「ねこきちさんは、お酒は好きですか」
「いやぁ、大好きってわけじゃないけど、ほどほどに飲むかなぁ」
「私はお酒の席は好きですが、弱くてほとんど飲めないです」
「え!飲めなくてもお酒の席好きなの?」と私。
「だって、自分はシラフのまんまで、
だんだん酔っぱらっていく人たちを見ていて、
バッカみたい!って思わない?」
「思わないですよ~。メンバーにもよりますが(爆)」

ごもっとも。

少し前、以前の上司3人が、食事に誘ってくださった。

「ムトーさんと××さんと○○さんと飲みに行くんだ」というと、
母が仰天して気をもんだ。

「そんな立派な人たちの集まりに、あんたが行ってもいいの?
ご迷惑じゃないの?
なんの会?
どういう理由?」

あーあーあーあー

わかっちゃいないなぁ
楽しくお酒を飲むのに、別に理由なんかいらないんだって!

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うま!

彼が、日本のみならず、香港や台湾、
韓国でも人気があることは知っていた。

トレンディドラマだけではなくて、
きちんとお金をかけた映画の主役に、
ちょくちょく抜擢されていることも知っていた。

それでも、ちょっとかわいらしい顔をした、
アイドルでしかない、と思っていたのだ。

妻夫木聡クンである。

「天地人」を見て、ごめんなさいと思った。
まちがっていました、と思った。

カメラさんがあんなに大写しにしたがる見目麗しさに加えて、
演技もちゃんとうまいのね、と思った。

「うまいねぇ。
物語の都合上、のっけからたびたび泣くんだけど、
『泣き』もうまい」

というと同僚が、我がコトのように自慢げに、

「そうだよ、『食べ』もうまいよ」と答えた。

「なんていうのかなぁ、こう、普通には食べないんだ。
悩んでいたり、はじけていたり、
その時々の食べ方をするの」

ふうーん!

一年モノ大河の主役を努めることは、
すっごく大変だろうけど、
大御所にもいっぱい出会えるだろうし、
日本を代表する俳優さんになっていって欲しい。

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サンダースおじさん生還

姉からメール。

「それにしても、カーネル・サンダース人形、
見つかってよかったね~。
優勝したのはちょうど大学1年のときで、
大学のボロい食堂で、
黄色と黒のシマシマの特別ケーキを食べている先輩とかいて、
大騒ぎしていたのを思い出したよ~」

「シマシマのケーキ」って……。

いかにもタイガース好きのパティシエが考えそうなことだな。
いや学食だから、パティシエじゃないか。

にしても、「黄色と黒」って……。

「かぼちゃとイカスミかな?」といったら同僚が、
「え!だってケーキでしょ?」と目を丸くした。

「バナナとチョコレートとかじゃない?」

あ、そっか……。

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母の山話(やまばなし)3

母が、六甲山東側コース35キロを踏破したらしい。

1月の終わりに、
ほとんどまる一日をかけて西コースにチャレンジしたら、
キツくてフラフラになり、
「もうムリです、ごめんなさい」というくらいで、
大変だったので、
また別コースに行くことにしたそうだ。

以来、近所の低山を練習コースとして、
普段ペットボトルくらいしか持たずにぶらぶら登るのを、
わざと3㎏余りのサトウの切り餅なんかをリュックに詰め、
負荷をかけて、日々鍛錬したそうだ。

ハードルが高ければ高いほど、
燃えちゃう人なのだ。
そのアグレッシブさに、私達家族は時におののく。

父からメールが来た。

「山道30キロ普通歩けますか?
きみのお母さんは化け物ですね」

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サムライジャパン!

オーストラリア戦強化試合で先発が2回持たずに降板したとき、
野球通の人に、グチをいった。

「松坂もダルビッシュも、なんですかあれ、
芝居ですか」

野球通の人は答えない。「芝居ですよね」

やっとクチを開いた。

「芝居と思います?
ぼく、あんなもんやと思いますよ、松坂って」

手厳しいのである。
だから夕べの韓国戦には、相当不安があった。

私は、「宮廷女官・チャングムの誓い」のあと、
「チェオクの剣」「太王四神記」にもはまった人なので、
韓国に恨みはない、むしろ好感を持っている。

しかし、それとこれとは違うのだ。

韓国チームはガタイのでかい、いかつい人ばっかり。
クリーンナップが、
「総・おかわり中村君」みたいなのである。

「焼肉ばっかり食ってるんやろうな~。日本、いっぱい打たれそう…」
「3回くらいでボコボコにされて、『さー、カラオケでもいこかー』なんつって」

でも、芝居だったのは打線らしい!
このままお互いに登っていけば、韓国とはあと4回も対戦するが、
とにかく、まずは一勝した。

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野良こねこ

半年くらい前、左隣の席の人の母上が、
捨て猫を拾ってきたそうだ。

母上はかわいそうな野良を放っておけず、
つい連れ帰ってしまったが、
かといって、面倒をみるわけではない。
ほったらかしなのだ。

世話はもっぱら、左隣の席の人がすることになった。

すでに犬がいるので放し飼いにはできず、
彼女は白いゲージの中を居心地よく整え、
トイレの砂を買って、ねこじゃらしも用意した。

子猫は家に連れてこられたとき、
やせて骨が浮き出た背中に泥がこびりつき、
するどい不良の目つきをして「フーッ」といい、
ツメを立てて後ずさりしたという。

その猫が今では彼女を主人と認め、
子供らしく好奇心いっぱいに遊びまわっているらしい。
まだほんの子供なので、初めて鏡を見たときは仰天し、
映った自分に襲いかかったそうだ。

仕事メールの合間に、猫日和が綴られる。

「こないだちょっとゲージの外に出したら、
カーテンは破れるわ、
なぜそうなったのか、
夕べはのれんにぶら下がっていました」

家じゅうがボロボロになっても、「なにすんのよ、あんた!」と笑う。

そういえば、別の友人も、買ったばかりのサンローランの靴のかかとを、子犬がかじってぼろぼろにしても、笑って嘆いていたな~。

その動物がなんであれ、飼い主って寛大でえらいな~
元・野良子猫、あんた、シアワセだよ。

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啓蟄(けいちつ)

啓蟄…二十四節気のひとつ。冬ごもりの虫が地中からはい出るころ。太陽暦で3月6日ごろ。(大辞泉)

引継ぎが始まって、
毎日少しずつ新しい仕事を覚えていっている。

引き継いでくれる人は、
こんな風に職場を去ることになって、
理不尽な、あほらしい思いをしているだろうに、
ひとつひとつ、懇切丁寧に教えてくれるのだ。

帰宅後は、夜遅くまで求人サイトに向き合って、
仕事自体の少なさにおののき、不安でいっぱいだろうに、
前の席の人も、斜め前の人も、
左横の人も、
相変わらず、冗談と笑いが絶えない。

すごい人たちだ。
驚嘆する。

夜道を歩きながら、
「いろんな人にお世話になってるよナー」
と思うと、
酔っ払いみたいに、
なんだか泣けてきた。

生きているだけで、
生きて、
「みなさんありがとー、お互いにがんばろうねー」と思えるだけで、
シアワセじゃない?
Photo

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パリコレ

パリコレ開催のニュースが新聞に載っていた。

カール・ラガーフェルド、エマニュエル・ウンガロ、
クリスチャン・ラクロワ、ジバンシィ、ヴァレンティノ、
レオナール、セリーヌ、イヴ・サンローラン、シャネル……

写真には、いつもながら派手で奇抜で、
邪魔なものがびろびろ付いた衣装を着て、
やせて不機嫌そうなモデルが挑発的に写っている。

「まえまえから気になってたんだけど、
ファッションショーと、実際にブティックに売ってる服と、
どう関係あるのさ?
だって売ってないじゃん、あり得ないよね、あんな服」といったら同僚が、
アハアハと笑って、「あれはショーなの!」と答えた。

「あんなのアカデミー賞授賞式で着てこられたってうざいよね。
普通の人が着たら”アタマおかしいの?”って思われちゃう」

「あれはコンセプトの発表の場なんだって!」

私は納得がいかない。

「例えば、『ウチは今度、この色でいきます』とか、
『来シーズンのデザインには全部、こういうモチーフが付いてます』とかだったら、
コンセプト発表の場としてわかるけど、
そういう訳でもないんでしょ、
売ってる服とぜんぜん関係ないんでしょ、
エリマキトカゲみたいなのが、
クビから胸を斜めに通って、下までずらーっとついてるんだよ」
「じゃ、そのエリマキトカゲは取り外し式になってるんじゃない?」
「え」
「取ったら、『ほら!普通でしょ…』みたいな」

同僚は親切なのである。

むーん。

なぜ売っていない服を見るために、
多くの著名人がファッションショーに駆けつけるのか。
デザイナーがファッション界に浴びせるパンチを受けに行くのか。

すると突然、雷鳴のようにひらめいた。

「あ!あれはショーなんだ!
ストーリーも歌も、ラインダンスもないけど、
あれはミュージカルと一緒で、見るだけのショーなんだね!」

それ、彼女が最初にいったことじゃん。

パリコレ

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野球盤

WBC選抜メンバーによる強化試合を見に行った。
京セラドーム、オーストラリア戦。

このドームの3階席から見える風景は、
何回行ってもボードゲームなのである。

ポスターカラーでべたっと塗ったみたいな緑色に、
同じく不自然なレンガ色のマウンドとベース回り。
そこに、盆栽に刺すミニチュアの人形みたいな選手が、
走ったり守ったりしている。

屈伸運動を繰り返す生(なま)イチローも、
ジャンプする生・岩村も、
深く投げ込む生・ダルビッシュもみんな、
盆栽に刺すミニチュアの人形みたいだった。

田中マー君が登場したとき、心の中で、
”マー君がんばれ!”といったら、
あっちこっちから、「マー君、がんばれー!」と大きな声が聞こえた。
大半は、中年の男性だった。

普段、テレビ観戦で、
バックネット裏のカメラの視線で見ていると、
ピッチャーの後ろには、
サードもショートもファーストも、
ライトもセンターもレフトも見えるけど、
ピッチャーの視線になってみれば、
視界に見える味方といえば、キャッチャーただひとりなのである。
守備のみんなが自分の後ろで、
「よし来い」とばかりに腰を落として守っていてくれることを、
背中で「感じる」しかないのである。

マー君は緊張していたのだろうか、
マウンドに上がってから、
明るい黄色のグラブが「すぽん」と手から抜けて地面に落ちていた。
緊張していたのだろう。

大変ぜいたくな試合だった。

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強風注意

マンションの掲示板に、

「××棟1階専用庭に、モップが飛んできておりました」

と貼り紙がしてあった。

「おそらく上層階のお宅から強風により飛ばされたものと思われますが、
思わぬ事故につながりますので、
ベランダで保管されている物品については、
充分ご注意いただきたく…」

確かに、数日前大変な強風の日があったが、
実際にモップが空を飛んだかと思うと、こわいのである。

うちのマンションはちょっと高台みたいなところにあり、
周りにもあまり何もないので(要するに田舎だ)
丘の裾野から吹き上げる風が、
ハンパじゃない日が年に数回ある。

そういう日は、
機密性の高いマンションの浴室にして、
ヒュウ~
ヒュウウウウウ~
という訳で、
本来湯気を外に出すべきダクトの空気が逆流して外気が吹き込み、
露天風呂みたいに鏡が曇らない。
湯船に浸かっていてもなんとなく落ち着かず、
ゆっくり鼻歌も歌えないのである。

台風一過のある朝、ベランダに出ようと思ったら、
ベランダサンダルの片方だけがなくなっていた。
底がスポンジみたいなちゃちいのだったので、
気に入ってはいたけど、まあ仕方ないかとあきらめたら、
よく見ると、代わりにどこかのお宅からチリトリが飛んで来ていた。

「思わぬ事故につながりますので、
ベランダで保管されている掃除用具については、
充分ご注意いただきたく…」

掃除用具は天下の回りもの。

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梅咲いてました

2月に入って、毎週どたばたしていたので、
遅ればせながら昨日やっと、
お正月飾りの炊き上げをお願いしに、近所の寺に行った。

そこは、車でわずか10分くらいのところなのに、
もういきなりすごい田舎なのである。

苔むした階段を登り、
由緒ありそうな古びた山門をくぐると、
「しーん」と人影もない境内の中央に、
ひと抱えもあるドラム缶に、
枯れ木や松かさなどよく燃えそうなものをぎゅうぎゅうに詰め込んで、
焚き火の準備がしてある。

本堂の脇に四角い囲いがあって、
「古いお札をお入れください、お炊き上げいたします」
と毛筆で書いてあった。

境内の片隅に、愛らしいピンクの梅が満開だった。
「これ、ほんもの?」
ホンモノだ。

お寺の脇は、うっそうと木が茂った細い道だ。
駐車場まで歩いて降りながら森林浴する。

「すーーーーーーっ」
お腹の奥底まで吸い込んで、
「はーーーーーーっ」
体中に酸素が一滴もなくなるまで吐く。

「すーーーーーーっ」
「はーーーーーーっ」

夫が隣で適当にやってるので、
「真面目に深呼吸してください」というと、
「え、真面目に深呼吸?」といって、
小鼻をふくらませて笑う。

郵便屋さんが、民家の庭先で、
3つか4つくらいの男の子にせがまれて郵便物を渡したはいいけれど、
なかなか家人に持って行こうとしないので、
気が気でなく立ち去れない。

平成の世でも、童謡みたいな風景が、
あちこちにあった。

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こわいし…

これが、大阪府・市と経済界が、
今年8~10月に大阪・中之島周辺で開くイベント、
「水都大阪2009」のPRポスター。

200902060946301n 200902060947021n

こわいし…(泣)

でも、本人達は気に入っているらしい。

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しーっ!

帰宅すると英会話学校のマネージャーさんからFAXが入っていた。

「携帯番号を存じあげないためFAXで失礼します。
本日、Q先生が風邪をこじらせたため、
勝手ながらレッスンをお休みさせていただきます。
万一このFAXにお気付きでない場合には……」

私はすかさず携帯電話を取り出して、夫にメールを打った。

「Q先生、風邪で今日お休みなんだって!
風邪じゃなくて二日酔いの間違いだよね?(笑)」

というのも、夫は前の晩、
近くのコンビニでQ先生に会っているのだ。

Q先生はぴんぴんしており、
夫に向かって「ハーイ!」といい、
「What is オススメ?」などと聞き、
北海道から来たという西洋人の友達を伴って、
お酒のコーナーで、ウイスキーだのビールだのを両手いっぱい買い込んで、
酒盛りの準備をしていたという。

帰宅した夫がにやにや笑って、
「今度会ったら、体調はどうか聞いてやろう」というので、
あわてて制止した。

「ダメダメ!
ダメだよ、そんなことしちゃ!
見え見えの嘘つく人にはそれなりの事情があるんだから、
そういう時は知らん顔しなくちゃ。
それが大人道ってもんなの!」

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いま、なぜゆえ

姉からメール。

「話は変わるけど、ドリフターズのDVD借りてコピーしてくれないかなぁ?
実費はお支払いします。
買うと8000円もするんだよねぇ…」
「ドリフって、加藤茶とかの!?」
「そうそう、加藤茶とか志村けん」

なぜ今このときに、
ドリフの笑いを磨こうとするのか。

夫が、TSUTAYAの「お笑い」のコーナーにしゃがみこんで、
ああでもない、こうでもないとぶつぶついっている。

「『番組誕生40周年記念盤 8時だョ!全員集合』と、
『結成40周年記念盤 8時だヨ ! 全員集合』と、
中身どう違うのかなぁ……」

私は、夫をこんなことに巻き込んでしまって、
本当に申し訳ない。

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「天地人」

NHKの大河ドラマ「天地人」が好調らしい。

同僚はトレンディドラマに詳しく、
月9はもちろん、旬のドラマはたいてい押さえている。
ただ、歴史モノには興味がないらしく、
したがって大河にも関心が薄い。

でも、私が大河を見ると知って、
「今度の大河ドラマ、妻夫木クンが出てるんだよね?」
そこは興味があるらしい。

「そうそう、妻夫木クン」
「どういう役どころ?」

彼女が日本史をどのくらい知っているかわからないので、
私は様子をうかがいつつ、「上杉謙信の……」といった。

「ふんふん」
「上杉謙信の跡取りである、上杉景勝っていう人の……」
「は~…」

一気に彼女のテンションが下がり、『知らんなー』という空気が流れた。

「その人の家来」
「えっ、そのまた家来!?」
彼女はもうびっくり、がっかりなのである。

「いや、でもね、お殿様になってもおかしくなかったくらいの人らしいんだよ。
当時はホラ、身分っていうものがあったし、
もし下克上が可能だったとしても、
そういうことは絶対しなかった人なの!
だって、兜(かぶと)に『愛』とか書いてんだよ、すごいでしょ、
なんせ、”忠義”っていうのがテーマだからさぁ。
で……、」

私は親戚でもない直江兼続を必死に擁護する。

そういう私も、直江兼続を知ったのは実は最近なのだ。
しかも、歴史にとんと興味のない夫から教わった。
夫の情報源は、「花の慶次」という、
前田慶次郎が主人公のマンガだった(笑)

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雛飾り

実家に帰って雛人形を出してきた。

雛飾りといっても、
旧家にあるような赤い毛氈(もうせん)を敷いた立派な段飾りではなく、
一体が両手のひらで包めるくらいの小さなもので、
お内裏様から三人官女、右大臣、左大臣、五人囃子を全員並べても、
ガラスケースを楽らく持ち上げられるサイズなのだが、
父へのバレンタインの帰省を兼ねて必ずする、
私にとっては年中行事である。

ある年、忙しかったのだろうか、
「わざわざ来なくていい、やっとくから」といわれたからだろうか、
不覚にも、母にディスプレイを任せたことがあった。

この雛人形セットは姉と私に買ってもらったもので、
母はあまり詳しくない。
屏風や火鉢、ぼんぼりやお膳といった小道具も、
木やプラスチックで作ったものに、
それっぽく彩色してあるだけなので、
脚付きの台に白・桃・黄緑色の物体が乗っていればそれは菱餅だし、
黒塗りの丸いお鍋みたいなのの、
中を赤く塗ってあればそれは火鉢を意味する。
赤色は炭のことなのだ。
それらは暗黙の了解なのである。

それを母はテキトーに並べるものだから、
後日点検にいったら、
菓子盆の上に火鉢が乗せてあった。

「ちょっと!
だめじゃん、これ、今で言ったら、
食器のお皿の上にホカロンを乗せてるようなもんだよ!!」

また、不覚にも仕舞うのを任せたこともある。

次の年に私が、
「一年間、お待ち遠さま♪」といって人形を取り出してみると、
三人官女のうち二人が、小道具を持たされたまま、仕舞われていた。
牛車には旗をブッ刺したままだった。
小道具は全部取り外して別々に薄紙で包み、
和服樟脳の入った小箱に入れるのがお約束なのに……。
官女にしてみれば、
一年中、柄杓(ひしゃく)や急須を持たされたままだったわけだから、
もう大迷惑なのである。

昔、会社の同僚が「お雛様買うんだ♪」と自慢したことがあった。
「へー、お雛様をねぇ」と私がいうと、
「そんなこというのは、
ねこきちさんちには、お雛様があったからだよ!」と怒られた。
彼女は生まれたときからマンション住まいだったから、
雛飾りを欲しい欲しいと思いながら大人になったそうだ。
そして働くようになってお金を貯めて、
お内裏様とお雛様の二体だけだが、自分で買うことにした。
偉いのである。

実家の和室には明るい光が入ってきていた。
もう春なんだなぁ。

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雨の日も 風邪(!)の日も

ブログを書くことにしたのは、
姉に薦められたこともあるし、
本に「きっと得るものがある」と書いてあったこともあるし、
敬愛する茂木さんが、
テレビで見かけない日がないくらい忙しい合間を縫って、
実際に、毎朝更新されているということもある。

たぶんブログなんて、
気合を入れてするものでもないと思うけど、

「事情が許す限り毎日書く」

というミッションを自分に課したので、
雨の日も風邪の日も、
たとえば、つらいことがあった日にも、
淡々とつづる。

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連れて帰る

義兄が車を買い替えることになり、
今まで乗っていたのを格安で譲り受けることになった。

旅行気分で一泊してもよかったけど、
月曜日は普通に出勤でもあるし、
強行で日帰りして引き取ることに。

往復で都合1000キロ超の旅である。

暗いうちに起き、朝2番の飛行機に乗ろうと空港に着くと、
出発ロビーは早くも搭乗客で騒がしい。
夕べ、「この冬一番の大荒れ」と予報でさんざん脅された通り、
うら若い女性のアナウンスがフロアに淡々と繰り返される。

「到着地雷雨による悪天候のため、着陸できない場合は、
引き返すこともございますので、
あらかじめご了承の上、ご搭乗くださいませ」

なに、引き返す!?
んなアホな!
遊覧飛行じゃないんだから!

結局、降下時にちょっとガタガタしたけど、
大した揺れもなく無事着陸。

「無事着いた?」
「今どこ?」
「何時に来れそう?」
姉からしょっちゅうメールが入る。

「無事着いた」
「今空港のおみやげコーナー」
「10時に待ち合わせ場所」

ホテルのロビーで義兄と待ち合わせ。
夫はそわそわと落ち着かない。
ガラス窓ごしに、聞いていた車種が滑り込んで来るのを見つけると、
「あっ、来た!」
首を伸ばしてさっとドアまで駆けつける。
駐車場に移動して、一通り説明を聞く。
「そこのボタンがサイドミラーの…」
「気をつけてもらいたいのは…」
義兄が、「気に入ってもらえると、うれしいんだけど」という。

ラウンジで一息入れて、いざ出発。

幸い雨が上がっている。
風もたいしたことないらしい。
慣れない首都高を抜けて高速に入る。
ドイツ車なので加速が軽い。

西に向かってブンブン飛ばしながら、
「これか?」「あれか?」と探したけど、
残念ながら富士山は裾の方しか見えなかった。

途中、浜名湖で、
値段からいうとホンモノだろうけど、
もしかしたら中国産かも知れない鰻丼を食べる。

伊勢湾岸道路を抜けたころ、日が落ちた。

暗くなってライトをつけると、運転席周りの計器が赤と青に光って、
夫はちょっとうれしそうなのである。
「スタートレックのメインブリッジか、
飛行機のコックピットみたいだねぇ」

私は、「もらい犬」も「もらい猫」もしたことがない。
でも、
「もらい犬」や「もらい猫」をした人は、
きっとこんな気分ではないかと思う。

彼(車)は元の家族を離れて、新しい家族をどう思うだろうか。
早く新しい環境に馴染んで、気に入ってくれるだろうか。
私達は彼を理解して、うまくやっていけるかしらん。
車は家族と同じだと思う。

新しい車を連れて帰った。

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わかってるじゃん

夫はよく鍋料理をしたとき、
私が「ごちそうさま」と席を立ったあと、
取り鉢を向こうへ押しやって、鍋ごと引き寄せて残りを食べる。

「鍋ごと食べたらいけないんだよ、器に取らないと」

というと、「なんで?」というから、
「クチが鍋みたいになるから」と親に教わった通りに答えた。

また別の日に、フライパンで作ったパスタの残りを、
お皿を向こうへ押しやって、フライパンを引き寄せて食べているから、
「クチがフライパンみたいになるよ!」と注意した。

すると先日、ご飯を茶碗によそったあと、
しゃもじにくっついたご飯粒を、しゃもじから直接食べながら、
「クチがしゃもじみたいになる、クチがしゃもじみたいになる…」とつぶやいていた。

わかってるじゃん。

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チャンスの神様

姉が息子に、
「チャンスの神様は前髪しかない」という訓示をたれていたそうだ。

チャンスの神様は前髪しかないので、出会ったとき、
瞬時につかまえなくてはいけない。
うじうじ迷っていてすれ違ったあとで、
「しまった…!やっぱり!」と振り返っても、
後頭部はツルっぱげだから、もう捕まえようがない、
みるみる遠ざかっていく。
…そのような状態を「手遅れ」「後悔」という。

チャンスの神様は前髪しかないのだ。

「出会ったとき、瞬時に決断するためにはね…」

と、訓示は続くわけだが、
甥は一連の話を聞いたあと、「わかった」と神妙に答えた。

「ぼくもそういうことが何回もあった」

姉はぎくっとして、恐る恐る質問する。

「な、何回くらい?」
「んー、50~60回」

よわい10歳にして5、60回後悔。
日々これ学びなり。

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あれも欲しい・これも欲しい

10年くらい前、プチうつだった時、何も欲しいものがなかった。

誘われて飲み会に参加し、アホな冗談に大口を開けて笑い、
普通に生活しているつもりなのにどんどん痩せて、
はけなくてもう捨てようと思っていたスカートにすっぽり入った。

好き嫌いなく食事し、カラオケでマラカスなど打ち鳴らし、
普通に生活しているつもりだったのに、
「ねこきちさん、すんごく痩せた時期がありましたよね~」と、
何年もあとになって後輩にいわれて驚いた。

そして、何も欲しいものがなかった。

だから、欲しいものがあるというのはシアワセなことなのだ。
それが常軌を逸していないかぎり。
「物欲まみれ」でない限り。

だから堂々と、
胸を張ってバーゲンに繰り出す。

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シロートなんぞに…

茂木さんの『クオリア日記』を読んだら
「粉もんの真髄」というコラムがあって、

コメント欄で読者のみなさんのお好み焼きへの思いがつづられていて、
いつもとはまた違った雰囲気で面白かった。

確かに、お好み焼きなんて、
どれがホンモノか今やもう、わかんない、
みんなそれぞれ、自分ちのがホンモノだと信じて、
「おいしい♪」って食べれればいいんじゃないの、と思う。

お好み焼きといえば、
大阪某所某商店街の某店には名物・鬼店主がいて、
小さい店内に精一杯の数作りつけた鉄板テーブルをひとつひとつ巡って、
店主自らが焼くのだが、その形相がまたすごい。
客が手持ち無沙汰のあまり、焼けつつあるお好み焼きを、
コテやお箸の先でちょいちょいとつつこうものなら、
「コラッ、さわるなッ!」という怒声が飛んでくる。

手出し無用なのである。

店主は高齢でもあるし、
材料だけ出してお客に勝手に焼いてもらった方が楽に違いないのだが、
ニコリともしない割烹着の背中からは、
「焼きをシロートなんぞに任せてはおけぬ」というプロ魂が、
ぎんぎん伝わってくる。

その店はたいてい店先に長蛇の列が出来ていて、入るのに一苦労、
並んでいる間、商店街のアーケード天井がまた破れかぶれなので、
雨の日なんかはザンザンに雨粒が漏ってくるのだ。
私はだいぶん以前、知人にその店に連れて行ってもらったが、
長い間並んで空腹過ぎたため、
やっと席についたときはヘトヘトだったことと、
尋常でないシステムと雰囲気に圧倒され、
肝心の味がどうだったか覚えていない。

でも、雨漏りに耐えて順番を待ち、
店主の罵声におびえながらも、
客はまた行くんだから、おいしかったに違いない。

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ボク達ごめんね

若い男の子がお尻よりまだ下にずり下がったジーンズをはいている。

だぶついていて布が余り、
どこまでが胴で、どっから脚かもわからない。
股下といったら30センチくらいしかない。
みっともないのである。

でも、お尻が見えちゃうのは気になるらしくて、
しょっちゅう上着を引っ張り下げている。
ひざ下くらいの位置に尻ポケットがあって、
財布なんかが差し込んである。
どう見てもおかしいのである。

ごめんねボク達、おばさん、わからない。
それのいったいどこがいいのか。
あ、おばさんになんかわかってもらわなくたっていいってことか。

あは、あははは・・・

いやいや、知ってる知ってる、
知ってますって!
一部の若者の間で、そういう服がはやっているってことは!!

でも意味不明なんだから仕方ない。
第一、動きづらそうで実用的でない。

でも、
「なんじゃそりゃ!?」といういでたちが、
これまでのファッション史を塗り替えてきたことも事実。
じゃ、やっぱこれが時代の最先端なのか!?
おばさんは右往左往、混乱し、心は千々に乱れるのである。

でも、そのそれ、ファッション史塗り替える以前に、
股ずれして転ぶでしょ。

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ひとくくりにいうけど、

朝、出勤前にあわただしく身支度していた。

クタッとした素材の、
脱力系のクロップドパンツに着替えたら、
夫が自分の身支度の手を止め、まじまじとこちらを見て、
「それ、服?」という。

「そうだよ、なんだと思った?」
「ねまき」

…!!

服じゃなきゃ、いきなり「ねまき」なんだ!

ひとくくりにいうけど、服にだって、
私には「外出着」と「家着」の大分類のほかに、
普通の出勤着、きちんとした出勤着、
とっておき、近所をうろつく格好……等々中分類もあるし、
それ以前に、夏服と冬服、合い物の区別とかもあるけど、
あなたの場合、
服じゃなきゃ、いきなり「ねまき」なんだね。

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でっかい国だなぁ

星条旗を打ち振る人々の姿が、
あまりにも多くて、
あまりにも細かいので、
真夜中のテレビの砂嵐みたいだった。

でっかい国だなぁ。

ズームインして映し出される人々の中には、
アフリカ系はもちろん、ヒスパニック系もイタリア系も、アジア系も居た。
みんな興奮するか、陶酔しているように見える。
これほどの多様性を乗り越えて、人々をひとつにまとめるのは、
「我々は自由の国の国民である」という誇りなのだなぁ。

でっかい国だ。

自由の女神像が改めて、大きな意味を持って見えた。

その人は努めて笑顔を絶やさないようにしつつも、
やはり緊張していたのだろうか、
右手を挙げて宣誓するとき、
ちょっとうまくセリフを繰り返せなかった。

こういう歴史的瞬間をライブで見られてうれしい。

長い人種差別の壁を打ち破り、
バラク・H・オバマ氏が、第44代アメリカ合衆国大統領に就任した。

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たいやき2

少し前、ここに「たいやき」のことを書いた。
お正月だ。

実家近くの神社の参道で、初詣客相手の屋台が立ち並ぶ中、
ふと、久しぶりに食べたいなと思っただけのことだが、
どうやら、今年2009年は「たいやき生誕100周年」らしい(笑)
(アゴラ2008年12月号)

甘いものが貴重だった昔、
縁起がよくて、なかなか食べることができない「鯛」の形を模した庶民のお菓子、
という訳で大人気となり、
昭和の時代には、あんこを尻尾に入れるか否かの論争まであったそうだ。

元祖は、浪花家総本店とか。
http://www.wagashi.or.jp/tokyo/shop/0510.htm

たいやきの鯛はみんなおんなじ顔をしていると思っていたら、
ちがうのだ。
お店によってちょっとずつおもむきが違うらしい。
横から見た魚はみんな、クチが「への字」だが、
そのカーブがきついのやら、比較的ゆるいのやら。
への字カーブがきついたいやきは、とてもりりしい。

寒い日でも、店先に並んで買う。
並んででも買うから焼きたての、ほくほくのが手に入る。
アタマから食べる人、尻尾からかじる人、
お腹のところでぱかっと割って、上がった湯気に驚く人。

あんこの上品な甘さがじんわり広がる。
Taiyaki

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母の山話(やまばなし)2

いつも登っている山を、ためしに、家と反対の向こう側に下りたとき、
ちょっとした畑があって、
「マムシ注意!」と手書きで書かれた立て看板があったそうだ。

母はわりあい、恐れを知らない人なので、
畑にいた見知らぬ男性に、

「マムシが出るんですか!?」と聞いたらしい。

男性は、「出ません」とあっさり答えた。

「でも、こうでも書いとかないと、畑が荒らされるでしょ」

ごもっとも。

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母の山話(やまばなし)1

両親がせっせと近所の山登りをしている。
ことに母は、仕事のある父を置き去りにしてほぼ毎日登っては、
山友達を増やしているようである。

300メートルそこそこの低山だが、山友達はいろいろで、
山頂付近のお宮の宮司(ぐうじ)さんであったり、
別の登山道からやってくる同年代の婦人だったり、
その山が縦走路の一部をなしているために、
すでに5~6時間も歩き続けてふらふらになった、どこかの高校生だったりする。

犬とその飼い主、ということもある。

母は先日、中腹付近で顔見知りの婦人と出会い、一緒に登っていく途中、
首輪をつけて鎖をひきずった一匹の柴犬とすれ違ったそうだ。
跳ねるように降りてきた犬はすれ違いざま、
ちらっと母たちを見上げて、楽しそうに「笑った」という。

犬は三度の飯より散歩が好きだというから、山登りはことのほかうれしいのだ。
付近に飼い主の姿はなかった。
でも登山路では、首輪もなしに飼い主と抜きつ、抜かれつ、
道草を食いながら、のんびり山登りする犬の姿は珍しくない。

しばらくして、世間話などしつつ歩を進める母たちを、
首輪をつけて鎖をひきずった一匹の柴犬が足早に抜かしていった。
さっきと同じ犬なのだ。
下ったばかりの同じ道を、またひとりで今度は登ってきたというわけ。

彼(あるいは彼女)はある程度登ると段々の上で足を止め、
首を伸ばして遠くを見やり、
ぴんと立てた耳を四方に注意深く動かして澄ましている。
そして、トコトコトコと、またしても下ってきたのだ。

今度は、すれ違う人に「笑いかける」余裕もなく、あせった様子だったという。

「はぐれたのかしら?」
「そうねえ、たぶん」

焦りの色を見せ始めた柴犬を心配しつつ、母らが、とある茶屋まで来ると、
そこにカップ酒をひっかけて誰かと談笑している飼い主の姿があった。

「あらあ!あなた、かわいそうに、わんこ、探してたわよ!」

しばらくすると犬も戻ってきて飼い主を探しあて、
ほっとした様子で合流したという。

あとから来るものと思っていた飼い主が、不意に寄り道したものだから、
半泣きの体で探し回ったというわけ。
それでも、「ずいぶん探したのに」とも、
「黙って行くなんて、ひどいじゃんか!」と恨み節をいうでもなく、
犬は飼い主にまた会えて、ただもう、うれしいのだ。

「かわいいよー、ああいうの見ると、犬ってほんと、かわいいわぁ」

母は目じりをさげて犬を誉めそやす。

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理屈ではないのだ

私は空箱マニアだ。

クローゼットの一角には大、中、小、特大、極小、横長…、
といったいろいろな空箱が、
うずたかく積み上げられている。

空箱なら、段ボール色のただの段ボールでもいいし、
綺麗な印刷がほどこしてある化粧箱なら、なおよろし。

あるとき夫が、「入れ物好きのねこきち」といった。

はー、そうだ。
空箱だけじゃなかった、
カバンや封筒といった袋物も大好きだし、
何も入っていない引き出しなども好きだ。
夫は時々するどい。

無類の入れ物好き。
これは理屈ではないのだ。
もしかしたら前世と関わりがあるかも知れない。

ほんとうかどうか知らないがフロイト的には、
「塔好き」はファザコン、
「アーチ好き」はマザコンだそうだ。

「入れ物好き」はなんなのだろう。

フロイトと知り合いでなくて残念。

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寒くなりました

今朝は、家を出なければならない時刻の20分前まで、
布団の裏に飛んでいるモモンガみたいに貼りついていました。

それでも一通り化粧をし、朝ごはんだって食べたよ。(立ち食い)
そして、なんとかいつもの電車に間に合いました。

寒くなりましたね~(>~<)
外では風がびゅうびゅういっています。

でも、この寒さ、このびゅうびゅうを知ってこそ、
屋根があり、壁があることがありがたく、
春がくることがうれしいんだよね。

連休明けのなが~い一週間を終えた金曜日は、
誰かれなく肩を叩き合いたいくらい、
はしゃいでしまうように。

大変さを乗り越えてこそ…そんなことを教えてくれる、
「ベルリン・天使の詩」を紹介してくれたのは、確かクボ君だったな。

お疲れさまでした♪

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七草粥

お昼の社員食堂で七草粥に長い列ができていた。

同僚が、「家でする?」と聞くので、
「しない。だってめんどくさいじゃん」と答えた。

「炊飯器にやらせればいい」

はー、そうだ。
炊飯器には確かに、「おかゆ」という目盛がある。
一度も使ったことがない。

彼女は、明太子パスタを食べながら、
”七草粥くらい、簡単なのに”という顔をしている。

「えっ、じゃあ家でするの?」
「うん」

彼女はひとり暮らしなのである。
私はあわてて聞いた。「それ、彼氏呼ぶんだよね?」

呼ばないそうだ。
自分だけのために七草粥をきちんと作って、
自分ひとりで「いただきます」と手を合わせる。

聞くと、ひとりでも、お月見もするし、
小さなユニットバスにゆず湯もする、
たいていの伝統行事は当たり前にこなすらしい。

すごいなー

ひとりだろうが大勢だろうが、
伝統行事をきちんと押さえている人の話を聞くと、
無条件に尊敬してしまう。

そういう人はたぶん、行事だけではなくて、
ご先祖様から受け継いだ精神世界全体を大切にしているのだ。
例えば「ばちが当たる」というときに、
「”ばち”ってなんなのさ」などと屁理屈こねたりせず、
目に見えないものに”恐れ”をもって、モノを粗末にしたり、しないのだと思う。

えらいなー

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寒い日も前を向いて

笑ったら、両頬に目が埋まった。
視界に、頬の丘が見えるのだ。
お正月の暴飲暴食を反省した。

1~3月は一年の中でも、月日の経つのが特に早く感じられることから、
「1月はいぬ、2月は逃げる、3月は去る」といわれる。

寒いのが苦手なので、春を待つあまり、
これまで、
「いぬ」がまま、
「逃げる」がまま、
「去る」がままにしていたけど、
考えて見れば三月(みつき)というと、1年の四分の一、
もったいないのである。

今年は捕まえてみるべし。

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がんばりましょう

年明け最初のゴミの日。

マンションのごみ収集小屋に行ったら、
天井につくぐらい各戸のゴミが積みあがっていた。
壮観だった。

みなさん、明日からまたお勤めですね。

寒いけど、暗いうちから起きなけりゃいけませんね。

しかも今回、休みボケをずりずり引きずったまま、一週間まるまるですね。



がんばりまーす。

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春待ちびと

母が、熱い紅茶のカップをかき回しながら、

「もう3ヶ月もしたら、桜が咲くよねー」

という。

そりゃちょっとまだ無理でしょ。
その前に梅でしょ。

だいたい、スキーヤー・スノーボーダーに失礼でしょ。

---

寒さ本番はこれからなのに、もう春を待つ人々。

…私も含めて。

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たいやき

たいやきを買うのに30分並んだ。

おじさんはまず、ザ・ポリバケツに生卵をいくつも割りいれ、
ハンドミキサーみたいなので粉と一緒に攪拌する。

その間におばさんは、一連に5匹ずつ並んだ鯛型に油をうすく塗り、
中央付近にペースト状の生地をちょろりちょろりと流し入れて、
上からあんこを計ったようにきっちり同量ずつ乗せていく。
あんこが乗ったら、そのあんこ色が隠れるまで、
生地をたっぷりと流して、おんなじ鯛型で上から蓋をするのだ。

待つこと数分。

蓋をちらっと開け、返し棒でちょいちょいとつつくと、
いいように火が通ったらしい。

おばさんは広げた「まきす」の上に、
ふっくらふくふくに焼きあがった鯛を放り投げ、
竹の皮を広げて、湯気が立っている鯛を5匹ずつ並べて包み、
上からさらに紙で包んでゴムでピンと留める。

「お待ちどおさま」

やがて、生地の仕込みを終えたおじさんも「焼き」に加勢する。

おばさんのたい焼きはだいたい同じように焼けるが、
おじさんのたい焼きは、「あんこたっぷり」の張り紙の通り、
乗せるあんこの量がテキトー…というか大サービスなので、
焼きあがった鯛のお腹が破れてあんこがはみ出ているし、
背びれ尾びれの外側にも、入れすぎて余った生地が、
びろびろとくっついたまま焼きあがっている。

一回に5匹しか焼けないに、みんな「10匹」とか「8匹」とかいうのだ。
それでどんどん列が長くなる。
長くなっていく列の人がみんな、
おじさん、おばさんの手つきにじぃーっと見入っている。

おばさんは、一連に5匹ずつ並んだ鯛型に油をうすく塗り、
中央付近にペースト状の生地をちょろりちょろりと流し入れて、
上からあんこを計ったようにきっちり同量ずつ……

あー、面白かった。

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大掃除

さすがに大掃除(笑)

夫は(自称)わりときちんとした人なので、
持ち場が窓であろうと、レンジフードであろうと、コンロ周りであろうと、
徹底的にやる。

徹底的にやるので、すごくきれいになるけど、すごく時間がかかる。

私はあまりきちんとした人ではないので、
まあ、普段よりは念入りにやるけど、
そこそこテキトーにやる。

テキトーにやるので、テキトーにしかできないけど、早く終わって次のアイテムに取り掛かれる。

どちらがよいかは、好みの問題である。

*****

昔、友人のいっちゃんが、
「このクソ寒い時期になんで大掃除!」って、
ほとんど「マジギレ」してたな~。

そうだね、
たしかにね、
お正月が4月ごろなら、こんな、寒風吹きすさぶベランダに無理やり出て、
アカギレ作ることもないよね。
でも、寒いからさっさと済まそうと思うのかもね。
寒いから、新年なんだなーって、背筋がぴんと伸びるのかもね。

*****

目覚まし時計もお身ぬぐい。
毎朝、「黙れっ!」とばかりに、ぶったたいてごめんね。

家財道具の皆々様、今年も一年、お世話になりました。


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1回で頼めない

久しぶりにCoCo壱番屋に行った。
ひと通りメニューを見てチャイムを押す。

夫が、
「トンカツカレーのほうれん草トッピング、300の2カラ」
と淀みなく注文する。

私は、これまでの経験から、「一回で頼めない」というトラウマがある上に、
前の選手(夫)が10点満点をたたき出したのでおのずとプレッシャーがかかり、
ついメニューを指差して、「これください」といってしまった。

パリパリチキン・スープカレー¥880

店員:「こちら、パリパリチキンはトッピングになりますが、よろしいでしょうか?」
「は?」
「スープカレーにはパリパリチキンは入っておりません」
「じゃ、これは?この写真は?」
「トッピングなんです」
「じゃ、トッピングでいいです」
「パリパリチキンは、ご飯の上にのせましょうか、スープの中に入れましょうか」
「す、スープの中に入れてください」
「ご飯の量と辛さは普通でよろしいでしょうか」
「ご飯は、200グラムにしてください」
「スープカレーのご飯は、普通が200グラムなんです」

もういいや、なんでも。

「ねえねえ、トンカツカレーのほうれん草トッピングと、
ほうれん草カレーのトンカツトッピングと、どう違うの?」

私よりこの店に慣れている夫はこともなげに、「あ、一緒一緒」と答えた。

……。

これって、慣れなの?
場数を踏めば上達するの?
アタマ悪い人には、CoCo壱番屋は無理なの?

まだ一回で頼めない。

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屋台

各地の寺院のすす払いのニュースが届く。
……遅いよ!もっと前からやっときなよ!
って、うちだってまだだけどね。

昔、「屋台村」というのがあった。
確か、冬だけの季節営業だったと思う。

屋根と壁のあるコンクリート打ちっぱなしの空間に、
いくつかの屋台が集まっていて、
種類の違うメニューを次々ハシゴできるようになっている。

お客はのれんをくぐって赤いカウンターと緑色の丸いパイプ椅子に座り、
ある店では「ビールとねぎま塩焼き」とか、
次の店で「たこ焼き1人前」とか、
さらに次の店で「とんこつ・並」とかいうのである。

隙間風は入ってこないし、いろいろなメニューがあるし、便利なんだけど、
でもなんか違うのである。
だいたい、お客が誰も着飾ったり、盛り上がったりしていない。
わくわく感がぜんぜんなかった。

冬の屋台というのは寒風に震えて立ったまま、
晴れ着の前が汚れないように気をつけながらりんご飴をしゃぶったり、
子供達がいつもと違って、ねだればあっさり「わたがし」を買ってもらえたり、
天津甘栗の炉がぐるぐる回っていたり、
同窓会代わりに集まって、わいわい騒ぎながら行くものなのだ。

「屋台村」はほどなく姿を消した。

このお正月は、久しぶりに、
除夜の鐘が鳴ってる最中の、真(ま)元旦に初詣したいなぁ。

そして、どっから水引いてるのかわからないような(たぶん公衆トイレ?)
体に悪そうな屋台の食べ物を食べたい。
さざえの壷に入っているけど、たぶんさざえじゃない貝のつぼ焼きとか。

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冬休み

長い休みに入ると、
不規則な生活が、規則正しく続いていく……
Photo
明日休みだからって、毎晩夜更かししちゃ、だめだよー
特に、テレビや撮り貯めた録画を見ながら、いつのまにかソファやカーペットで寝るのは厳禁だよー
風邪ひいちゃうよー

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雑感あれこれ

■プロ野球選手年俸軒並みアップの怪

プロ野球選手の契約更改ニュースが次々と入ってくる。

 阪神・新井、年俸2億円プラス出来高で更改
 ロッテ・小林宏、現状維持の2億円プラス出来高払いで更改
 横浜・村田、2.6億円プラス出来高で合意
 阪神の金本、今季と同じ年俸5億5000万円プラス出来高でサイン
 楽天・岩隈、3年総額11億円!パ投手最高

「オク」って単位がポンポン飛び出す。
前からこんなんだったっけ?
いやいや、個人的にはプロ野球界には盛り上がって欲しいので、別にいいんだけど、
企業の業績は悪化するわ、野球人気は低迷といいながら、すごいね~
どっから出るんだろう。

少し前、メジャーリーガーがストをしていたけど、
日本プロ野球界もいずれ、「カネ」「カネ」って、そんな風になるんだろうか。

■なくなる記者会見

中田英寿がある時期から、小松成美以外に口を開かなくなったのは、
マスコミにあることないこと、好き勝手に書かれたからだそうだ。

記者会見をしても言葉尻を拡大して、ぜんぜん違う風に記事にされる。

そんなことが続けば、有名人だって人間だもの、いやになるだろう。

それなら、「自分の言葉で」「本当の気持ちを」「直接ファンに」伝えたい……
そう思うのも無理もない。

あらゆる著名人がブログを始めれば、記者会見なんていらない。

(ちなみに、中田英寿は今秋、パリコレで目撃されたそうだ)

■「篤姫」終わる

6月に「いぶすき篤姫館」に行ったとき、
目にも鮮やかな赤っい着物と、今泉島津家の於一の部屋(撮影用)の狭さに驚いた。
あの小さな空間で、スタッフがうろうろするなか、
演技して泣けちゃう宮崎あおいはすごいのだ。
スタッフが映らないよう撮るカメラマンも(プロだからね…)

平均視聴率24%超えが物語るように、大変よくできた大河だった。
印象に残るのはなんといっても、
「そんな奴おらんで」ってくらいの彼女のまっすぐさ、
相手の心に飛び込んでいく大胆さ、運命を受け入れて、自分の居場所を切り開いていく強さ。

気に入ったセリフは「一方を聞いて沙汰するな」
どんなに前評判の悪い人とでも、実際に面会して、
風評にとらわれず自分で判断するのである。
そして、それらの頑なな人々の心を変えていく。

配役もよかったなぁ。
瑛太はもちろん、樋口可南子、松坂慶子、高橋英樹、堺雅人、松田翔太、堀北 真希、北大路 欣也などなど。

今回の高視聴率を支えたのは、若い女性だったそうだ。
女子高生などが欠かさず見、篤姫本人はもとより、
稲森いずみ演じる「滝山」や「幾島」に、
キャリアウーマンのかっこよさを見たそうだ。

大河ドラマはいつも、いろいろなことを考えさせてくれる。

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みーちゃん

家に帰ったら小包が届いていた。

36ポイントぐらいの巨大なザ・丸ゴシック体で宛名が書いてある。
裏返して差出人を見なくても、みーちゃんである。

もうそれだけで、にやにや笑えてくる。

みーちゃんはもう20年も前に牧場でバイトしていたときの知り合いだが、
かれこれ15年も前上京して以来、ずっと「×本荘」に住んでいる。

みーちゃんは、肩よりちょっと長いくらいのくせっ毛をいつもポニーテール一本にして、
彼女がスカートをはいているところを一度も見たことがない。

みーちゃんは、居酒屋・魚屋・ガテン系の3つのアルバイトをかけ持ちしながら、
一方で歌舞伎だったかお能だったか、日本の伝統芸能の舞台に通い詰めていたりする。

ふっつりと音沙汰がなくなったと思ったら、
「沖縄に行ってきました」といって、
不意にミンサー織のコースターだのテーブルセンターだのを送ってきてくれる。

お互いにメアドはあるけれど、必ず切手を使う手紙なのである。
今回は、DEAN&DELUCAの真っ赤なバッグだった。

こうして、思い出したように手紙をもらうと、
忘れていた大切な何かを思い出すようで、すごくうれしいのである。

みーちゃんから手紙や小包が届くと、夫は決まって、
当惑したような、もうちょっとよく知りたいような、
「か、変わった友達がいるんだね」というような顔をする。

私は極めて平凡な、面白みのない人間だと自分で思うが、
いっさい「かぶらない」友達とは長続きしないというから、
長続きしている以上、私にもみーちゃんみたいな「変わった」部分があるのかなぁとちょっと思う。

みーちゃん、ありがとう。

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国民性を表わす(笑えない)小話

昔、国民性をよく表わしている小話を聞いた。

いろいろな国の人々が乗る豪華客船が、今まさに沈みそうになっていた。

乗務員は乗客達を説き伏せて、海へ飛び込んでもらわなくてはならないのだが、
皆、怖がって飛び込もうとしない。

そこで、国民性を使って誘導することに。

イギリス人に向かって
「今すぐ飛び込んでください、それがルールです」

イタリア人に向かって
「たった今、美女が飛び込みましたよ!ほら!」

アメリカ人に向かって
「今飛び込めば、あなたはヒーローになれますよ!」

日本人に向かって
「もう皆さん飛び込みましたよ、残っているのはあなただけです」

…ううっ
「みんなで渡れば怖くない」的日本人…当たっている。

もうそろそろ、「自分の頭で」考えなくてはならない。

おりしも、今年のベストセラーのほとんどが、「自己啓発本」だったそうだ。
ただ読んだことに満足せず実践すれば、きっと前進するはず。

進め!進め!

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とっほほ

甥っ子が所望したクリスマスプレゼントをネットで注文したら、
新品なのに、店頭価格からものすごくディスカウントされていた。
ただ、「ギフト包装不可」になっていたので、それではあまりに味気ないと思い、
赤と緑で包装したり、他のものと一緒に送るつもりでとりあえず自宅に取り寄せた。

もう届く頃と思っていたら案の定、帰宅するとポストに不在票が入っている。

留守がちな人でも便利なように、マンションには「宅配ボックス」なる住民だけが使えるロッカーがあり、
各戸に配布されたカードを差し込めば、
クール便や配達記録などを除いて、日中、業者が入れておいてくれた荷物を受け取ることができる。

カードを差し込んで決まり通りに操作すると、
自動応答機が、割れた女性の声で「ロッカー番号『15』が開きます」という。

”ロッカー番号15!?”

普通は、業者が入れるにも住民が取り出すのにも便利な
「5番」か「6番」なのに、「15」っていったいどれ?

ずずーっと見ていくと、いちばーん最後に「15」が見つかった。

ロッカー番号15は、
ゴルフ宅配便を利用してゴルフバッグが届いたときに利用する、
大人でも入れるサイズの特大ロッカーだったのだ。

なんでわざわざこんなところに!?

ま、まさか、そんな……。


お姉さま、
近日中に、軽いけど、でかい荷物が届くよ。
玄関から入らないかもよ。
でも、お宅の息子さんからのご要望だからさ、
よろしくね。

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身をよじって

たぶんお正月だったと思うが、甥っ子がまだほんの赤ん坊だった頃、夫と私、姉、甥の4人で出かけたことがあった。

ひと通り買い物を済ませて駐車場に戻り、さあ帰ろうというときになって姉が、

「やっぱりもうちょっと見たいところがあるから、悪いけど、この子を連れて先に帰っててくれない?」という。

私たちは快諾し、夫が運転席、私が甥を抱えて後席に乗り込み、ドアをばたんっと閉めると、甥はすぐさま異常を察知し、私の膝の上で顔をひきつらせてリアウィンドを振り返った。
彼の母親は天井の低い、薄暗い、陰気な駐車場の弱々しい蛍光灯の下で、にこにこと手を振っている。

車が発進し、手を振る姉が遠ざかっていくと、甥はすぐさま、
「ママが!ママが!」と絶叫した。

「ママね、まだお買い物」
といっても、ますます顔が赤くなって風船を膨らましている人みたいなのである。

「ママが!ママが!」

甥は私の膝の上で立ち上がり、黄色いひよこを刺繍した、白いカーディガンの身をよじって、絶叫しつつぼろぼろと涙をこぼす。

「なんで!なんで!」
「危ないから座りなさい!」
「なんで!なんで!」
「こらっ!」夫も前から加勢する。
「ママがぁぁぁ!」

怪力なのである。
「赤子の手をひねるより…」などといった人は赤子の怪力を知らなかったに違いないのだ。

「ママがぁぁぁ!なんでぇぇぇ!うおおおおおお」

狭い車内に阿鼻叫喚が響き渡った。

どうせ心細さだったに違いないが、彼の主張はあくまでも、「(置き去りにして)ママがかわいそう」というものだったように思う。

甥よ、あんた30年後も、そうやって身をよじって、ヨメから年老いた母を守ってやんなよ。Takkunn1214

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8階の親子

平日の朝7時台、マンションのエレベータは大忙しである。
登っては降り、登っては降り、途中停車の後1階へ、また高層階へ呼ばれて途中停車、途中停車、1階へ…、を絶え間なく繰り返す。
電車の時間が決まっているので、顔合わせる住民もたいてい同じ。

その中の幼稚園男児と保育園男児を連れた母親という、8階の親子は時間の余裕のなさでいつも殺気立っていて、ときどき、同乗した人はどうしたらいいかわからない。
これまでに把握したところによると、マンション前に来る巡回バスに乗り遅れると、「母親が自転車で送っていかねばならない」という大仕事が発生するらしい。

あるときみんなして1階へ降りていく道すがら、小さいほうの保育園児がふざけて、用もないのに3階のボタンを押した。
母親は火のように怒って、「なにすんのっ!」と大声を出し、「そんなことしたら遅れるやないの!みんな急いでるのに!ほらっ謝りなさいっ、謝りなさいっ」 と、チビに向かって、同乗していた私に謝らせようとする。
私は別に怒ってもいないし、チビの気持ちもわかるのでいたたまれず、「いや、別にいいんですよ」とかなんとか、へどもどしていた。

すると先日、例によって9階あたりでエレベータがスピードを落としたので、 「あぁ、あの親子だなぁ」と思っていると、予想通り8階に停止、「プーン」と音を立ててドアが開く。
見ると、大小子供ふたりが帽子をかぶり、カバンを斜めがけにして平和そうに玄関前の壁にもたれていた。
のどかな光景なのである。
部屋のドアが開いていて、中からゴソゴソと音がしているから、母親の準備がまだなのだろう。

私が「開」を押して待っていると、大きいほうが殊勝にも「先、行ってください」といった。 私はちょっと感激した、おお、よくできた子よ。

ところがそのとき、間髪を入れず、家の中から罵声が飛んで出て来たのである。 「なにいうの!待っててもらいなさいっ」

えっ!?そう来る?

朝7時台のエレベータは、とかく忙しい。

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新しい墓参のかたち

親戚の法事で某寺に行った。

七五三の時期で人の出入りも多く、本堂に入るのに、お線香を手にした人たちが長い列を作っている。 その人通り多いメインの道から、ちょっとはずれたところに目指す位牌堂があった。

二年前に建てられた位牌堂は天井が高く、白と青を基調に、明るく、清潔な感じで、玄関脇の窓にはめ込んだステンドグラスには、観音様だけではなく、よく見るとキリストを抱くマリア様(ピエタ)みたいなのもある。パイプオルガンまで聞こえてきそうな、お寺というより教会みたい。
床は土足OKで椅子が並べられ、中央にすえた祭壇はさすがに仏教的だが、どういうわけか賽銭箱がある。

伯母は亡くなった伯父のために墓石ではなく、この小奇麗な位牌堂に、小さな風呂敷に包めるサイズの永代供養の位牌と、何がしかのスペースを買い取ったのだ。
手入れの行き届いた黒光りの棚に、金地に黒文字で戒名を彫りこんだ位牌が整然と並べられている。
おリンはもちろん、線香立も花立もない、ただ、お位牌だけの列である。
ここで向こう50年間、供養してもらえるのだという。確かに、雨露の心配ないこの空間で、大勢と一緒に眠るなら、さみしくないかもしれない。
夫婦ふたり用は戒名を二列彫りこめるようになっていて、金額は倍。ただし、一人目から50年だから、あとから入る人はその分短い。

「娘達にしたって、あと50年も生きないし」

伯母は伯父を思い出し、目に涙をいっぱいためて、でもサバサバというのだ。いかにも仲むつまじかった夫婦の、いさぎよい選択。

帰り、駐車場を出るとき、その娘たちが駆け寄ってきた。
「遠いのに来てくれてありがとう」
「気をつけて帰ってね」

美人姉妹を遺して早々とこの世を去った伯父は無念だっただろうが、このような娘たちに囲まれて、幸せだったに違いない。

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