今年3月ごろ全社的に、グーグルやヤフーが提供するフリーメールや、Skype、G-Mailといったインスタントメッセンジャー系のすべてが、「情報セキュリティ」の名のもとに使用禁止になった。所員はぶうぶういいながらも、情報システム担当のおじさんが、あたふたして、みんなの座席を回るのが気の毒で、言われた通りにプログラムを削除した。
わざわざメールを書くほどでもなく、電話かけるほど緊急でもない案件について、離れたところの人にちょっと話しかけるような感じで利用できるインスタントメッセージは、海外などではれっきとした仕事ツールのひとつとして認知され、その便利さは誰でも肌で感じているというのに。
その後、「誤送信が絶えないから」という理由でFAX利用が制限され、代わりにPDF化したファイルをメール転送することになり、ここ最近は席を立つときも、トイレくらいはともかく、昼食時などまとまった時間は、スクリーンセイバーは起動まで3分以内に設定、メールプログラムにはパスワードロックをかける、机上に書類をむき出しにしない、果ては、外出して戻らない人の机に電話メモも置きっぱなしにするな、という。「その席に誰が座っているか、特定されてはいけないから」ということらしい。
そもそも、勤務するビル自体にカード認証なしには入館できず、さらに、100名弱が在籍する今の部署には、別のカード認証なしには入室できないのに、その有様なのだ。
それでいて、セキュリティプログラムの全部をマイクロソフトに頼っている。定期的にアップデートを要求され、あっちでもこっちでも、長時間マイクロソフトにアクセスしてファイルをダウンロードしている。
「マイクロソフトが悪徳業者だったら、うちの会社の情報じゃじゃ漏れですね」といったらおじさんは黙っていた。
その息苦しさに目を白黒させていたら、どうやら「ISO27001」を取得しようとしているらしい。
そういうことか。
品質に特化した「ISO9001」、環境に特化した「ISO14001」、お次は、情報セキュリティに特化した「ISO27001」。
ISO運営機関に踊らされているんじゃないのか?
お次はいったい、どんな認証が生まれることやら。
江戸時代、厳格な宗教を持たない日本人が、200年以上もの長きにわたり、平和で安定した鎖国状態を保ち続けられたのは、美意識に支えられてのことだったという。
士農工商の属性を問わず、「人として恥ずかしい」という思いが、人々に「自分を律する」ことを教えていた。
あーあ、こんなにがんじがらめじゃ、そのうち、「叱られるから」「罰せられるから」「解雇されるから」、人々は悪いことをしなくなるのだろう。
美意識はどこへいくのか。
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